自動車保険の保険金に税金がかかることもある!税の種類や納付方法をわかりやすく解説

2025年12月22日

自動車保険で保険金を受け取った場合、それが課税対象なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

事故による損害の補填を目的とした保険金(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、車両保険の保険金等)は、所得税法上、原則として非課税です。
ただし、人身傷害保険や搭乗者傷害保険などで死亡保険金を受け取る場合には、「保険料の支払者」、「保険金の受取人」、「被保険者との関係」によって、相続税・贈与税・所得税のいずれかが課税される場合があります。

本記事では、自動車保険の保険金にかかる税金の種類や納付方法についてわかりやすく解説します。

自動車保険で受け取った保険金に税金はかかる?

自動車保険で受け取った保険金は、課税対象になる場合とならない場合があります。事故による損害の補填を目的とした保険金(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、車両保険の保険金等)は、所得税法上、原則として非課税です。これらの保険金を受け取っても税金はかかりません。
一方、人身傷害保険や搭乗者傷害保険などで死亡保険金を受け取る場合は、「被保険者の支払者」、「保険金受取人」、「被保険者の関係」によって、相続税・贈与税・所得税のいずれかが課税される場合があります。

所得税法上、非課税となる保険金の例※1

自動車保険 対人賠償責任保険 対人事故により
支払われる保険金
対物賠償責任保険 対物事故により
支払われる保険金
人身傷害保険
  1. 損害賠償的要素の保険金
    被保険者の死亡・後遺障害・傷害に対する保険金のうち、加害者の過失による部分
  2. 傷害保険的要素部分の保険金
    被保険者の過失による部分として支払われる後遺障害保険金・医療保険金
車両
保険
車両事故により被保険者に
支払われる保険金

出典:日本損害保険協会「①保険金と税金の関係

※1

所得税法 第9条1項18号、所得税法施行令 第30条1項1号~3号
所得税基本通達9-20、相続税基本通達3-10、1999年10月18日付国税庁法令解釈通達「人身傷害補償保険金に係る所得税、相続税及び贈与税の取扱い等について」

相続税や贈与税などが課税される死亡保険金の例

自動車保険(人身傷害保険、搭乗者傷害保険、自損事故保険のうち被保険者自身の過失部分) 被相続人が保険料を負担している場合 保険金を受け取った者が被保険者の相続人である場合は相続により、保険金を受け取った者が被保険者の相続人以外の場合は遺贈により、保険金を取得したものとみなして相続税が課税されます※2
保険金受取人が保険料を負担している場合 所得税法上の一時所得として取り扱われ、他の一時所得と合算して所得税が課税されます※3
第三者が保険料を負担している場合 保険金を受け取った者が第三者から贈与を受けたものとみなされ、贈与税が課税されます※4

出典:日本損害保険協会「①保険金と税金の関係

※2

相続税法 第3条1項1号、相続税基本通達5-5-(1)

※3

所得税法 第34条

※4

相続税法 第5条1項 相続税施行令 第1条の5、相続税基本通達5-5-(2)

課税される税金の種類

保険金に課税される税金の種類は、「保険料の支払者」、「保険金の受取人」、「被保険者との関係」によって異なります。

相続税 自動車保険の保険料を亡くなった方(被相続人)が支払い、相続人などが死亡保険金を受け取った場合
贈与税 自動車保険の保険料を第三者が支払い、その第三者以外の人が死亡保険金を受け取った場合
所得税(一時所得) 自動車保険の保険料を保険金受取人自身が支払い、本人が死亡保険金を受け取った場合

それぞれの税金がどのようなケースで課せられるのか解説します。

相続税の対象となるとき

自動車保険の保険料を被相続人(亡くなった方)が支払っていた場合、死亡保険金は相続税の課税対象となります。

例えば、死亡保険金を配偶者や子どもなど相続人が受け取った場合は、相続により保険金を取得したものとみなされ、相続税の課税対象です。なお、相続人以外の方が死亡保険金を受け取った場合も遺贈により保険金を取得したとみなされるため、同じく相続税の課税対象です。

相続税の申告・納付期限は、被相続人の死亡を知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10ヶ月以内です。期限日が土日祝日にあたるときは翌日が期限となります。被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合は、その住所地を所轄する税務署にて申告・納付を行ってください。

贈与税の対象となるとき

被保険者と保険金受取人以外の第三者が自動車保険の保険料を支払っていた場合、受け取る死亡保険金は第三者からの贈与とみなされるため、贈与税の課税対象となります。

例えば、子どもが被保険者である自動車保険の保険料を親が支払い、死亡保険金を被保険者の子ども(保険料の支払人から見れば孫)が受け取ったとすると、死亡保険金は祖父あるいは祖母から孫への贈与となり、贈与税の課税対象となります。

なお、贈与税の申告・納付期限は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から月15日です。贈与を受けた方の住所地を所轄する税務署で、期限内に申告・納付を行ってください。

所得税の対象となるとき

保険金受取人自身が自動車保険の保険料を支払っていた場合は、一時所得として所得税の課税対象となります。

例えば、子どもを被保険者とする自動車保険の保険料を親が支払い、親自身が死亡保険金を受け取った場合、受け取った保険金は所得税の課税対象です。

所得税の申告・納付期限は、死亡保険金を受け取った年の翌年の2月16日から3月15日です。期限日が土日祝日にあたるときは翌日が期限となります。死亡保険金を受け取った方の住所地を所轄する税務署で、申告・納付を行ってください。

会社員や公務員など給与所得者の多くは勤務先で年末調整を行い、所得税の申告・納付が完了します。しかし、一時所得は年末調整の対象となりません。そのため、一時所得となる死亡保険金を受け取った場合は納税者自身で確定申告を行い、所得税の申告・納付が必要になります。

相続税・贈与税・所得税の申告者、申告・納付期限、申告書の提出先は下記のとおりです。

申告者 申告・納付期限 申告先
相続税 相続や遺贈により財産を取得した方 被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内 被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署
贈与税 前年1年間に、贈与により財産を取得した方 贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日 贈与を受けた方の住所地を所轄する税務署
所得税 前年1年間に、課税対象となる所得を得た方 所得を得た翌年の2月16日~3月15日 申告者の住所地を所轄する税務署

出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税

出典:国税庁「No.4429 贈与税の申告と納税

出典:国税庁「No.1000 所得税のしくみ」を加工して作成

まとめ

自動車保険において、事故による損害の補填を目的とした保険金(対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、車両保険の保険金等)は、所得税法上、原則として非課税です。ただし、人身傷害保険などで死亡保険金を受け取る場合には、「保険料の支払者」「保険金の受取人」「被保険者」の関係によって、相続税・贈与税・所得税のいずれかが課税されるケースがあります。

課税対象となる場合は、各税金の申告・納付期限を正確に把握し、遅延がないよう準備しましょう。また、税金の適用範囲や申告方法について不明点がある場合は、税理士や税務署に相談しましょう。

監修:竹国 弘城

1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。

資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)