自動車保険は年末調整の対象外!社会保険料など控除対象となる保険料も解説

2024年9月12日(2026年4月27日更新)

社会保険(健康保険や年金保険など)や生命保険などに支払った保険料は、保険の種類によってはその年の年末調整で控除対象として申告できることがあります。しかし、自動車保険の保険料は控除対象ではないため、年末調整で申告できません。
本記事では、年末調整で控除対象となる保険料について解説します。あわせて、事業を行っている場合に自動車保険の保険料を経費として計上できるケースについても紹介します。事業でお車を使用している場合は、ぜひ参考にしてください。

自動車保険の保険料は年末調整で控除申告対象外

勤務先から給与を受け取っている方なら、毎年、年末調整をしているのではないでしょうか。各種保険料や住宅ローンなどの控除証明書を提出してお手続きをすると、所得税や住民税の負担を軽減できます。

社会保険や生命保険、地震保険などの保険料は年末調整の対象ですが、自動車保険の保険料は対象ではありません。対象となる保険料については勤務先から指定された期間内に控除証明書を提出し、正しく年末調整の手続きをしましょう。

年末調整で控除申告が
可能な保険料

年末調整で控除申告が可能な保険料には、次のものがあります。

  • 社会保険料(健康保険・介護保険・公的年金の保険料など)
  • 生命保険料
  • 介護医療保険料(民間保険会社の医療保険・介護保険の保険料)
  • 個人年金保険料
  • 地震保険料
  • 小規模企業共済等掛金

これらは所得控除の対象となるため、控除申告を忘れずに実施することで、課税所得金額を減らし、所得税・住民税の負担を軽減できます。各保険料の控除額について見ていきましょう。

なお、以下で紹介する控除額は所得税を計算するときの控除額です。住民税では控除額の計算式が異なる場合があります。

社会保険料

健康保険料や介護保険料、公的年金の保険料(国民年金保険料・厚生年金保険料)などの社会保険料を支払っている場合は、年末調整で社会保険料控除の申告ができます。ご自身の社会保険料だけでなく、同一生計家族の社会保険料を支払ったときも年末調整の控除対象です。年末調整では、勤務先へ書類提出が必要な場合と不要な場合があります。

給与から天引きされた社会保険料は、勤務先が金額を確認できるため、年末調整であらためて申告する必要はありません。一方で、給与天引きではなく、ご自身で支払った社会保険料があれば、控除証明書などを添付または提示して控除申告をしましょう。その年(本年中)に支払った金額の全額が、社会保険料控除の対象となります。

国民年金・国民健康保険

年末調整を受ける年にご自身で支払った国民年金保険料・国民健康保険料があれば、社会保険料控除の対象です。ご家族の国民年金保険料・国民健康保険料を支払った場合も、控除の対象になります。

国民年金保険料を年末調整で申告するには、支払い金額を証明する控除証明書などの書類を、保険料控除申告書に添付または提示する必要があります。国民健康保険料を年末調整で申告する場合は、納付額が記載された書類などの提出を勤務先から求められることがあります。

厚生年金・健康保険

現在の勤務先の給与から天引きされた厚生年金保険料・健康保険料は、年末調整であらためて申告する必要はありません。

年の途中で転職し、前の勤務先の給与から社会保険料が天引きされていた場合は、前の勤務先の源泉徴収票を現在の勤務先へ提出しましょう。

国民年金基金

年末調整を受ける年に個人事業主やフリーランスとして働いていた期間があり、国民年金基金に加入して支払った掛金がある場合は、社会保険料控除の対象です。ご家族が国民年金基金に加入していて、そのご家族の掛金を支払った場合も社会保険料控除の対象となり、年末調整で申告できます。

年末調整の際は、国民年金基金の掛金額を証明する書類を保険料控除申告書に添付または提示しましょう。

生命保険料

生命保険をご契約し※1、生命保険料を支払っている場合は、生命保険料控除の申告ができます。

※1

保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもあるため、注意しましょう。

<新生命保険料控除額>

新契約(2012年1月1日以後に締結した保険契約など)については「新生命保険料控除」として申告でき、控除額は最大4万円です。控除額の計算方法は以下をご覧ください。

年間の支払い保険料等 控除額
20,000円以下 支払い保険料等の全額
20,000円超
40,000円以下
支払い保険料等×1/2+10,000円
40,000円超
80,000円以下
支払い保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

出典:国税庁|No.1140 生命保険料控除

<旧生命保険料控除額>

旧契約(2011年12月31日以前に締結した保険契約など)については「旧生命保険料控除」として申告でき、控除額は最大5万円です。控除額の計算方法は以下をご覧ください。

年間の支払い保険料等 控除額
25,000円以下 支払い保険料等の全額
25,000円超
50,000円以下
支払い保険料等×1/2+12,500円
50,000円超
100,000円以下
支払い保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

出典:国税庁|No.1140 生命保険料控除

<新契約・旧契約に両方加入している場合の控除額>

新契約と旧契約の両方の生命保険に加入している場合は、旧契約の支払い保険料等の金額で控除額が決まります。控除額の計算方法は以下をご覧ください。

旧契約の支払い保険料等 控除額
60,000円超 <旧生命保険料控除額>に基づいて計算した控除額(最高50,000円)
60,000円以下 <新生命保険料控除額>に基づいて計算した控除額と<旧生命保険料控除額>に基づいて計算した控除額の合計額(最高40,000円)

参考:国税庁|No.1140 生命保険料控除

介護医療保険料

民間保険会社の医療保険や介護保険を2012年1月1日以後に契約※2し、保険料を支払っている場合は、「介護医療保険料控除」を年末調整で申告できます。

※2

2011年12月31日以前に契約した医療保険や介護保険の保険料は、「旧生命保険料」となり、「旧生命保険料控除」の対象です。

<介護医療保険料控除額>

控除額の計算方法は以下をご覧ください。

年間の支払い保険料等 控除額
20,000円以下 支払い保険料等の全額
20,000円超
40,000円以下
支払い保険料等×1/2+10,000円
40,000円超
80,000円以下
支払い保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

出典:国税庁|No.1140 生命保険料控除

個人年金保険料

個人年金保険料を支払っている場合は、新契約(2012年1月1日以後に締結した保険契約など)については「新個人年金保険料控除」、旧契約(2011年12月31日以前に締結した保険契約など)については「旧個人年金保険料控除」として年末調整で申告できます。

控除額の計算方法は、生命保険料と同様です。新契約の場合、旧契約の場合、新契約と旧契約の両方がある場合の3つのパターンのどれにあてはまるか確認のうえ、控除額を計算してください。

<新個人年金保険料控除額>

年間の支払い保険料等 控除額
20,000円以下 支払い保険料等の全額
20,000円超
40,000円以下
支払い保険料等×1/2+10,000円
40,000円超
80,000円以下
支払い保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

出典:国税庁|No.1140 生命保険料控除

<旧個人年金保険料控除額>

年間の支払い保険料等 控除額
25,000円以下 支払い保険料等の全額
25,000円超
50,000円以下
支払い保険料等×1/2+12,500円
50,000円超
100,000円以下
支払い保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

出典:国税庁|No.1140 生命保険料控除

<新契約・旧契約に両方加入している場合の控除額>

旧契約の支払い保険料等 控除額
60,000円超 <旧個人年金保険料控除額>に基づいて計算した控除額(最高50,000円)
60,000円以下 <新個人年金保険料控除額>に基づいて計算した控除額と<旧個人年金保険料控除額>に基づいて計算した控除額の合計額(最高40,000円)

参考:国税庁|No.1140 生命保険料控除

なお、生命保険料控除と介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の各控除額の合計額を「生命保険料控除額」と呼び、生命保険料控除額は最高12万円に制限される点に注意が必要です。例えば、生命保険料控除額が5万円、介護医療保険料控除額が4万円、個人年金保険料控除額が4万円の場合、生命保険料控除額は13万円ではなく12万円です。

地震保険料

地震保険に加入している場合は、年末調整で「地震保険料控除」の申告ができます。控除額は最大5万円です。

2007年1月に地震保険料控除制度が新設されたことにより、従来の損害保険料控除制度が廃止されました。
なお、2006年12月31日までに締結した損害保険契約(2007年1月1日以降に契約内容を変更していないものに限る)があるときは、経過措置として旧長期損害保険料として控除申告できます。控除額は最大15,000円ですが、地震保険料による控除額と合算して5万円が控除上限額となる点に注意が必要です。

保険料の種類 年間の支払い保険料の合計 控除額
地震保険料 50,000円
以下
支払い金額の
全額
50,000円超 一律50,000円
旧長期損害
保険料
10,000円
以下
支払い金額の
全額
10,000円超20,000円以下 支払い金額×1/2+5,000円
20,000円超 15,000円
地震保険料・旧長期損害保険料の両方がある場合 各控除額の合計額(最高50,000円)

出典:国税庁|No.1145 地震保険料控除

小規模企業共済等掛金

以下のいずれかの掛金を支払っている場合は、小規模企業共済等掛金として年末調整で控除申告ができます。

  • 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金もしくは個人型年金加入者掛金
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構と締結した共済契約の掛金
  • 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金

控除額は、上記の掛金全額です。

年末調整で控除申告ができない保険料

自動車保険や火災保険など、地震保険以外の損害保険の保険料は、原則として控除対象外であり、年末調整で控除申告はできません。

以前は、一定の条件を満たす長期契約の損害保険料は控除対象でしたが、2006年の税制改正により、2007年以降は廃止されています。

なお、一定の条件を満たす旧長期損害保険料については、経過措置により地震保険料控除の対象となる場合があります。詳細は、前述の「地震保険料」でご確認ください。

また、自動車保険の保険料も原則として年末調整の対象外ですが、一定の条件を満たせば経費計上できる場合があります。

自動車保険の保険料を経費計上できるケース

自動車保険の保険料は年末調整の対象ではありません。

しかし、事業で使用しているお車の自動車保険なら、確定申告において保険料を経費として計上可能です。これにより課税対象となる所得金額を減らせるため、税負担の軽減につながります。

事業の経費として計上できる自動車保険は、任意保険と自賠責保険の両方です。もし事業にお車を使っているなら、忘れずに自動車保険の保険料を経費計上しておきましょう。

ただし、事業とプライベートの両方で使用しているお車の場合は、お車を事業で使用している割合に応じた保険料のみが経費となり(これを「家事按分」といいます)、全額を経費として計上することはできません。詳細については、管轄の税務署や税理士などの専門家へご確認ください。

まとめ

自動車保険の保険料は年末調整で控除申告の対象外ですが、社会保険や生命保険、地震保険などの保険料は、要件を満たせば年末調整で所得控除を受けられます。対象となる保険料を支払っている場合は、期限内に正しく申告し、税負担の軽減につなげましょう。

なお、事業に使用するお車の自動車保険なら、任意保険・自賠責保険のいずれの場合も確定申告で経費として保険料を計上できる場合があります。ご自身の状況にあわせて、適切な申告を行ってください。

監修:竹国 弘城

1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。

資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)