自動車保険の「使用目的」の選び方。保険料に違いはある?実際と異なる「使用目的」を設定するとどうなる?
2024年3月8日(2025年4月7日更新)

自動車保険では、申し込みの際、お車の使用目的を保険会社に申告する必要があります。どの使用目的を選択すればよいのか、迷うケースもあるかもしれません。本記事では具体例を挙げて解説するので、ぜひ参考にしてください。
また、お車の使用目的が変わったときは、速やかに保険会社に申請することが大切です。正しく使用目的を申告しないと、万一の際に補償されなかったり、契約を解除されたりする可能性があります。
お車の使用目的の変更により保険料がどの程度変わるのかについてわかりやすく解説します。
お車の使用目的について
前述のとおり、自動車保険に加入の際にはお車の使用目的を選ばなければなりません。使用目的によって保険料が変わるため、間違って選択しないように注意が必要です。
一般的に、お車の使用目的は「主に業務」「主に通勤・通学」「主に日常・レジャー」の3つです。これらの定義は保険会社によって異なりますが、ここではイーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)を例にご紹介します。
主に業務
使用目的が「主に業務」となるのは、年間を通じて平均月15日以上お車を業務に使用している場合です。この「業務」の範囲にボランティアは含まず、給与や報酬などが発生する労働を業務としています。
主に通勤・通学
「主に業務」に該当せず、年間を通じて平均月15日以上通勤または通学にお車を使用している場合は、「主に通勤・通学」に該当します。なお、通勤・通学する本人が運転せず、家族がその車で送り迎えをしている場合にも「主に通勤・通学」に含まれます。
主に日常・レジャー
「主に業務」「主に通勤・通学」のどちらにもあてはまらない場合、使用目的は「主に日常・レジャー」になります。例えば、お車の利用が日常の買い物や週末のドライブ、旅行に限られる場合などです。
どこからが通勤・通学?
ここからは、どのような場合に「主に通勤・通学」にあたるのか具体例をみていきましょう。
「主に通勤・通学」にあたる例
これらはすべて、使用目的が「主に通勤・通学」となる例です。
会社員のAさんの場合
会社員のAさんは、毎日通勤にお車を使用しています。ときどき業務にも使用していますが、頻度は月に2・3日です。年間を通じて平均月15日以上業務に使用しているわけではないので「主に通勤・通学」にあたります。
会社員のBさんの場合
会社員のBさんは、通勤にお車は使用しませんが、子どもの通学の送り迎えに配偶者がお車を使用しています。通学に使用しているのは年間を通じて平均月15日以上であるため、使用目的は「主に通勤・通学」が該当します。
主婦のCさんの場合
主婦のCさんは、買い物やレジャーにお車を使用しています。しかし、子どもの通学と夫の通勤の送り迎えにも、年間を通じて平均月20日以上お車を使用しているため、「主に通勤・通学」にあたります。
「主に通勤・通学」にあたらない例
こちらは使用目的が「主に通勤・通学」にあたらない例です。
会社員のDさん
Dさんは、普段は週末の買い物にお車を使用していますが、冬の期間のみ通勤に使用しています。通勤に使用しているものの、年間を通じて平均月15日以上の使用とはならないため、使用目的は「主に日常・レジャー」に該当します。
主婦のEさん
主婦のEさんは、雨の日だけ子どもを学校に送り迎えするのにお車を使用しています。それ以外では、普段の買い物と週末のレジャーのみの使用であるため、こちらも使用目的は「主に日常・レジャー」になります。
どこからが業務使用?
次に、使用目的が「主に業務」となる具体例をみていきましょう。
「主に業務」にあたる例
これらは、使用目的が「主に業務」となる例です。
会社員のFさん
Fさんは、契約しているお車を平均月20日ほど通勤に使用しています。しかし、そのうちの15日以上は業務にも使用しています。自家用車を業務に利用する場合、自家用車の利用日数が年間を通じて平均月15日以上であれば「主に業務」にあたります。
自営業のGさん
自営業のGさんは、毎日子どもの学校の送り迎えにお車を使用し、買い物やレジャーにも使用します。ただし、年間を通じて平均月20日は業務に使っているため、自営業のGさんの場合も、「主に業務」にあたります。
「主に業務」にあたらない例
では「主に業務」にあたらないのはどのような場合なのでしょうか。
会社員のHさん
平日は通勤、週末は買い物に使用し、業務においても社用車ではなく自家用車を使用していますが、業務で使用するのは月に10日未満です。年間を通じて平均月20~22日通勤に利用しているため、使用目的は「主に通勤・通学」が該当します。
会社員のIさん
Iさんは冬の期間、徒歩通勤が大変になってしまうため、マイカー通勤をしています。また同じ理由で、冬は月2・3回業務にも使用します。しかし、一番使っているのは買い物やレジャーです。通勤も業務使用も、年間を通じて平均月15日以上の使用とはならないため、この場合には「主に日常・レジャー」があてはまります。
保険料はどれくらい変わる?使用目的による金額の違い
冒頭でも述べたとおり、お車の使用目的によって保険料は変わります。お車の使用目的が変わることで、使用頻度や運転時間も異なるためです。
自動車保険では、事故のリスクが高ければ保険料が高くなり、低ければ保険料も安くなります。使用頻度や運転時間が多いということは、それだけ事故のリスクも高いということになりますから、より使用頻度や運転時間が多い使用目的では、保険料も高くなります。
一般的に、最も保険料が高くなるのは、毎日の仕事で車を使用し使用頻度や運転時間が多いことが想定される、「主に業務」です。続いて「主に通勤・通学」の保険料が高く、もっとも保険料が安いのが「主に日常・レジャー」となります。
使用目的による保険料の違い
ここからは、&eに加入した場合の、使用目的による保険料の違いについてみていきましょう。
主に日常・レジャー | 主に通勤・通学 | 主に業務 | |
---|---|---|---|
保険料(一括払) | 39,792円 | 41,904円 | 48,471円 |
保険料の算出条件・補償内容の詳細を見る
【見積もり条件】
- 保険期間:1年間
- 保険開始日:2025年1月1日
- 等級:20等級(事故有係数適用期間0年)
- メーカー名・車名:トヨタ・プリウス
- 型式:ZVW30
- 初度登録年月:平成26(2014)年1月
- 料率クラス:車両8 対人12 対物10 傷害12
- 用途・車種:自家用普通乗用車
- 前年走行距離区分:7,000km超10,000km以下
- 使用目的:表に記載の通り
- 主な使用地:宮城県
- 主に運転される方の年齢:32歳
- 運転免許証の色:ゴールド
- 前契約事故:なし
- 前契約保険会社:当社以外
- 払込方法:一括払
【補償内容】
- 車両保険のタイプ:一般タイプ
- 車両保険金額:90万円
- 車両保険免責金額(1回目-2回目以降):5万円-10万円
- 車両全損時諸費用特約:あり
- 対人賠償(1名につき):無制限
- 対物賠償(1事故につき):無制限
- 対物超過特約:あり
- 人身傷害(1名につき):3,000万円(車内のみ補償)
- 弁護士特約:あり
- 他車運転特約:あり
- 被害者救済特約:あり
- 無過失特約:あり
- 運転者限定特約:夫婦限定
- 運転者年齢条件:30歳以上補償
【適用されている割引】
- インターネット割引
表示の保険料は、保険開始日が2025年1月1日の&eにおける保険料です。
商品改定などにより、保険料が変更となる場合があります。
このように、同じお車・同じ保険内容でも、もっとも保険料の安い「主に日常・レジャー」と保険料の高い「主に業務」では、保険料に大きな差が出ます。
使用目的が変わったときには
「転勤で職場が変わり、車通勤をすることになった」など、自動車保険の保険期間中に使用目的が変わることもあるでしょう。その場合は、速やかに保険会社へ連絡しましょう。なお、使用目的が変わることによって保険料が変わることがあります。高くなる場合は追加の保険料が必要です。安くなる場合は保険料の払い戻しが発生します。
使用目的の変更連絡をしなかった場合
保険料が高くなるからといって、使用目的の変更連絡をしなかった場合、万一の事故の際に補償されなかったり、契約が解除されたりする可能性があります。自家用車を業務に使用しなければならなくなったとき、引っ越しによって通勤や通学に車が必要になってしまったときなど、すぐに保険会社に連絡し、使用目的が変わった旨を伝えましょう。
使用目的の変更方法
使用目的の変更方法は保険会社によって異なるため、公式Webサイトなどで確認しておきましょう。
&eなら、Webサイトからお手続きが可能です。詳しくは以下をご覧ください。
虚偽の申告をした場合
申し込み時に虚偽の申告をした場合も、万一の事故の際に補償されなかったり、契約を解除されたりする可能性があります。正しく申告し、万一の事故に備えましょう。
使用目的と異なる用途で事故を起こしてしまったら?
保険会社に申告した使用目的と異なる用途でお車を利用した際に、たまたま事故を起こしてしまうことも考えられます。
例えば&eでは、次のようなケースは補償の対象となります。
補償の対象となるお車を使用するのは、年間を通じて平均月15日未満のため「主に日常・レジャー」で契約をしていたが、たまたま「通勤」時に事故が発生した場合
状況によっても異なるため、まずは加入している自動車保険の保険会社に問い合わせてください。
まとめ
自動車保険は、いざというときに必要なものです。使用目的の虚偽申告によって補償されないのでは、加入している意味がなくなってしまいますので、使用目的は正しく申告しましょう。
ただし、例えば業務に使用するようになったからといって、使用日数が既定の日数に満たなければ、ただちに業務使用に区分されるわけではありません。自動車保険の規定を正しく理解し、自動車保険に加入しましょう。

監修:新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。
資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員