自動車保険の記名被保険者とは?契約者との違いは?

2024年3月8日

自動車保険に加入する際には、記名被保険者を設定する必要があります。しかし、記名被保険者とは誰を指すのか、よくご存知でない方が多いのではないでしょうか。
記名被保険者は自動車保険の契約において、とても重要な意味を持ちます。今回は「契約者」と「記名被保険者」の違いについて説明するとともに、誰を記名被保険者とするのが適切なのか、記名被保険者を変更する際の注意点について解説します。

自動車保険における記名被保険者とは

契約者と記名被保険者の違い

まずは、自動車保険における「契約者」と「記名被保険者」の違いを説明します。

「契約者」とは、保険会社と保険契約を締結し、保険料の支払いを行う人のことを指します。一方、「記名被保険者」とは、イーデザイン損保の&e(アンディー)では、その保険契約においてご契約されるお車を最も多く運転する人を指します。

契約者と記名被保険者が同一である場合が多いですが、必ずしも同一でなければいけないという決まりはありません。あくまで「誰がご契約されるお車を最も多く運転する人なのか」によって記名被保険者を決定します。例えば、以下のようなケースは、契約者と記名被保険者が異なることが考えられます。

例1:最も多く運転する人が、未成年者や大学生のお子さまである場合

このケースにおいては、実際に保険料を支払うのは親ということも十分に考えられるでしょう。その場合、契約者が「親」、記名被保険者が「子」という設定が考えられます。

例2:最も多く運転する人が、専業主婦である場合

最も多く運転する人が専業主婦で、実際に保険料を支払うのは収入を得ている夫である場合、契約者が「夫」、記名被保険者が「妻」という設定が考えられます。

自動車保険においては、記名被保険者がポイント

自動車保険の契約において、「記名被保険者」はとても重要な意味を持ちます。
それは、記名被保険者が自動車保険の補償の中心となる方だからです。たとえば、対人賠償や対物賠償の補償を受けられる方は、記名被保険者を中心に配偶者や同居の親族の方などになります。
また、自動車保険の保険料は、等級や免許証の色、年齢などにより異なりますが、これらもすべて「記名被保険者」の情報をもととしています。

記名被保険者には誰がなるの?

記名被保険者は契約者や車の所有者と別でもよい

前述の通り、記名被保険者と契約者は定義が異なるため、同一でない場合もあります。また、記名被保険者と車の所有者も定義が異なるため、同一でない場合もあります。契約者、所有者と関係なく、最も多く運転する人を記名被保険者に設定しましょう。

保険会社によっては、契約者と記名被保険者の関係性に条件があるので注意が必要です。ただし、同居している家族といった関係性であれば問題となることはまずありません。しかし、これ以外の関係性である場合は、念のため、契約が可能かどうか保険会社に確認しておきましょう。

なお、「記名被保険者」は告知事項の一つであるため、契約時に正確に申告する義務があります。不適切な人を記名被保険者に設定した場合、契約が解除されたり、万一の事故の際に補償を受けることができないこともあるので、十分注意しましょう。

同じくらいの頻度で運転する人が複数いる場合はどうするか?

前述のように、一般的には「最も多く運転する人」を記名被保険者に設定するのがルールであり、そこに加入者の選択の余地はありません。

ただし、「家族内に同じ程度の頻度で運転する人が複数存在する」というケースは考えられます。誰が何キロ運転して、累計の運転時間はどれくらいかの正確な数字については、契約前に把握できるものではないので、この場合は同程度の頻度で運転する方から誰か一人を選択することになります。

この場合、記名被保険者の選択によって保険料が変わることがあります。たとえば、免許証の色や年齢によっては、保険料が変わる場合があるのです。

もちろん「最も多く運転する人」を選択するというルールは絶対です。あくまで「同じ程度の頻度で運転する人が複数存在する」場合にのみ、とれる手段です。明らかに運転頻度の少ない方を記名被保険者に選択した場合には、前述の通り契約が解除されたり、補償を受けることができなかったりしますので注意しましょう。

記名被保険者を変更する場合の
注意点

お車の使用状況が変化することにより、最も多く運転される方が契約期間中に変更となるケースもあるでしょう。変更時の注意点について解説します。

契約者と記名被保険者の関係性に注意

前述のとおり、保険会社によっては、契約者と記名被保険者の関係性に条件があります。変更時にも注意しておきましょう。

補償範囲が変わることに注意

自動車保険の補償の範囲は、記名被保険者を中心として設定されています。記名被保険者の変更により、この補償の範囲が変更となる場合もありますので、万一の事故の際に補償が受けられないということにならないように、記名被保険者の変更手続きの際にはこの点についても確認をしましょう。ご自身で判断がつかない場合は、保険会社に相談すると安心です。

等級の引き継ぎに注意

記名被保険者を、配偶者や同居の親族に変更する場合は、等級の引き継ぎが可能です。ただし、別居の子どもや親族に変更する場合は、原則として等級の引き継ぎができません。例えば、子どもの独立を機に親の車を子どもに譲り、記名被保険者を変更するようなケースにおいては、同居しているあいだに記名被保険者を変更しておくと、等級が引き継げない事態を防ぐことができます。等級は保険料に大きく影響する項目です。等級を引き継げないと、保険料が大きく上がることもありますので注意しましょう。

記名被保険者は、自動車保険の補償の中心となる人です。適切な人を記名被保険者に設定して契約することは、適切な補償を受けるうえでとても重要です。いざというときにトラブルになることのないように、正しく記名被保険者を設定しておきましょう。

監修:新井 智美

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。

資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員