自動車保険の基礎知識。補償内容や等級のルールもわかりやすく解説!
2024年8月9日(2025年10月23日更新)
法律で加入が義務付けられている自賠責保険に対し、任意に加入できる保険を自動車保険(任意保険)と言います。
「自動車保険の補償内容は?」「等級ってどんなルール?」などと気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、自動車保険(任意保険)の補償内容や保険期間、保険料の決まり方などの基礎知識をわかりやすく解説します。等級の決まり方や引き継ぎについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
自動車保険とは
自動車保険(任意保険)とは、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)でカバーできない部分を補う保険です。
法律で加入が義務付けられている自賠責保険に対し、自動車保険(任意保険)は任意で加入できます。
それぞれ詳しく解説します。
自賠責保険(強制保険)
自賠責保険は、すべての車(原動機付自転車(原付バイク)、電動キックボードを含む)に加入が義務付けられている強制保険です。
補償の対象となるのは、交通事故によって他人を死亡またはケガさせた場合の対人損害のみで、お車の損害やご自身のケガに対する補償はありません。
また、自賠責保険では、被害者1名あたりの支払限度額が定められています。
| 支払限度額(被害者1名あたり) | |
|---|---|
| ケガによる損害 | 最高 120万円 |
| 後遺障害による損害 | 最高 4,000万円 (障害等級による) |
| 死亡による損害 | 最高 3,000万円 |
自動車保険(任意保険)
自動車保険(任意保険)は、加入が義務付けられている自賠責保険とは違い、任意に加入できる保険です。
自賠責保険の補償金額には上限が設けられており、十分な補償が受けられない場合があります。また、事故の相手方やご自身のお車、ご自身のケガに対する補償はありません。
自動車事故による相手方への損害賠償やお車の修理費、ケガの治療費などの経済的な負担を抑えるために、自動車保険(任意保険)で備えておくことが大切です。
次章より、自動車保険(任意保険)の基礎知識について詳しく解説します。
自動車保険の基礎知識①補償内容
自動車保険(任意保険)の補償は、大きく3つに分けられます。
- 相手方への補償
- お車によるケガの補償
- ご自身のお車の補償
その他の補償を含め、以下で詳しく解説します。
相手方への補償
事故の相手方への補償には、「対人賠償」や「対物賠償」があります。
| 対人賠償 | 自動車事故で相手方を死傷させてしまった場合に補償される保険 |
|---|---|
| 対物賠償 | 自動車事故で相手方のお車や電柱などを壊した場合に 修理費用などが補償される保険 |
対人賠償に関しては、自賠責保険の補償額を超える部分に対して保険金が支払われます。事故の相手方への対人賠償・対物賠償は、基本補償として自動的にセットされているのが一般的です。
お車によるケガの補償
ご自身のケガに対する主な補償は以下の通りです。
横にスクロールできます
| 人身傷害 | 自動車事故でご自身や同乗者が死傷されたとき、過失割合に関係なく治療費などを補償される保険 |
|---|---|
| 搭乗者傷害 | ご契約のお車に乗車中の方が死傷されたときに、契約時に定めた保険金額を定額で補償する「定額払」の保険 |
| 自損事故傷害 | 相手方のいない自損事故などにより、ご契約のお車の保有者・運転者または乗車中の方が死傷され、自賠責保険などの保険金が支払われない場合に、保険金が支払われる保険 |
| 無保険車傷害 | 自動車事故により、補償の対象となる方が死亡された場合や後遺障害を負われた場合で、相手方のお車が不明、無保険であるなどの理由から十分な補償を受けられないときに、保険金が支払われる保険 |
実際の損害額に対して保険金が支払われる人身傷害に対し、搭乗者傷害はあらかじめ定められた金額が支払われる点が異なります。
東京海上ダイレクトの自動車保険では、人身傷害に搭乗者傷害の一部や自損事故傷害、無保険車傷害の補償内容が含まれています。
ご自身のお車の補償
ご自身のお車の補償には「車両保険」などがあります。車両保険とは、ご契約のお車が損害を受けた場合に修理費などを補償する保険です。
一般的に、事故だけでなく、盗難やいたずら、火災、台風、洪水などによる損害も補償されます。
その他の補償
自動車保険には、補償を手厚くするための特約があり、自動的に付帯される特約とオプションで付帯できる特約があります。特約の種類や内容は、保険会社によってさまざまです。
当社の自動車保険では、以下の特約を自動で付帯しています。
| 特約 | 内容 |
|---|---|
| 他車運転特約 | 借りたお車を運転中の事故で 法律上の賠償責任を負う場合などに補償 |
| 被害者救済特約 | お車の欠陥や不正アクセスなどによる事故で、 ご自身に損害賠償責任がないと認められた場合に、 被害者を救済するための費用を補償 |
| 無過失特約 | もらい事故や自動運転中の事故などで 一定の条件を満たす場合に保険を利用しても等級に影響しない特約 |
また、補償を充実させるために以下のような特約を任意でセットできます。
横にスクロールできます
| 特約 | 内容 |
|---|---|
| 弁護士特約 | 自動車事故や日常生活の事故※で被害にあわれた際の弁護士への報酬などを補償 |
| 個人賠償特約 | 日常生活の事故で他人を死傷させたり他人の財物を壊したりした場合に補償 |
| ファミリーバイク特約 | 原動機付自転車(原付バイク)を運転中の事故による相手方への賠償やご自身のケガの損害を補償 |
| 対物超過特約 (対物賠償にセット) |
相手方のお車の修理費が時価額を超える場合に、その超過分を補償 |
| 入院時諸費用特約 (人身傷害にセット) |
死亡または3日以上入院した場合の諸費用を補償 |
| 新車買替特約 (車両保険にセット) |
お車に大きな損害が生じたときに、代替として新たにお車を購入する費用を補償 |
| 車両全損時諸費用特約 (車両保険にセット) |
お車が全損となった場合に、廃車や買い替え時の諸費用を補償 |
| 車内身の回り品特約 (車両保険にセット) |
お車の車室内、トランク等に収容またはキャリアに固定された個人所有の身の回り品の破損を補償 |
| 事故時レンタカー特約 (車両保険にセット) |
事故による修理などでお車が使用できなくなった場合にかかるレンタカー費用を補償 |
| 事故時帰宅・宿泊特約 (車両保険にセット) |
事故によってお車が使えない際に帰宅するための交通費や宿泊費を補償 |
| 自転車傷害特約 | ご自身やご家族が、自転車に乗っている間にケガをした場合や歩行中に自転車とぶつかりケガをした場合などに、あらかじめ設定された金額を保険金としてお支払い |
| ペット特約セット | 自動車事故により、同乗中の犬または猫がケガをした場合の治療費や飼い主が入院した場合のペットシッター費などを補償 |
日常生活の事故については、「日常・自動車事故補償」タイプを選択した場合に補償します。なお、保険開始日が2026年1月1日以降の契約で選択できます。
当社の補償内容について詳しくはこちらをご覧ください。
補償内容自動車保険の基礎知識②保険期間
自動車保険の保険期間(保険会社が補償の責任を負う期間)は、原則として1年間です。通常、保険開始日の16時に始まり、保険終了日の16時に終了します。また、保険会社によっては、保険期間が1年超の長期契約が可能なところもあります。
一般的に、保険期間が満了しても契約は自動的に継続されません。そのため、継続する場合は保険終了日までに手続きが必要です。
ただし、自動継続される特約がセットできる保険会社もあります。
自動車保険の基礎知識③保険料の決まり方
事故のリスクは、お車を利用する目的や運転者の年齢、過去の事故歴などによって異なります。そのため、自動車保険では、保険料負担の公平性を保つためにさまざまな項目からリスクに応じた保険料を算出しています。
- 前年の走行距離
- 車種・型式
- 使用目的
- 主な使用地
- 等級
- 運転免許証の色
- 年齢
- 補償される運転者の範囲
例えば、当社では、使用目的を「主に日常・レジャー」「主に通勤・通学」「主に業務」の3つに区分しています。「主に業務」は、「主に日常・レジャー」や「主に通勤・通学」と比べて事故のリスクが高くなるため、最も高い保険料となるのが一般的です。
また、補償される運転者の範囲を定める条件のうち運転者年齢条件は、当社では、「年齢問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「30歳以上補償」の4つに区分しています。若いほど事故のリスクが高いため、運転者年齢条件を高くするほど保険料が安くなる仕組みです。
このように、保険料の決まり方を正しく理解していれば、補償される運転者の範囲などを正しく選択することで保険料を抑えられる可能性があります。
自動車保険の基礎知識④等級制度
自動車保険では、契約者間の保険料負担の公平性を確保する目的で等級制度(ノンフリート等級別料率制度)を導入しています。
等級制度とは、契約者の事故実績に応じて保険料の割増引が行われる制度です。
事故の内容や回数に応じて等級(1等級~20等級)と割増引率が決まり、翌年の契約の保険料が割引・割増されます。
等級の決まり方や引き継ぎについて、以下で詳しく解説します。
等級の決まり方
初めて自動車保険に加入する場合、等級は原則として6等級から始まります。ただし、2台目以降のお車の自動車保険を契約する場合は、一定の条件を満たすと「セカンドカー割引」が適用され、7等級からスタートすることが可能です。
1年間事故がなかった場合や、事故にあったが保険金を請求しなかった場合、翌年の契約では1等級上がり、保険料が割引されます。反対に、事故で保険金の支払いを受けると、翌年の等級が下がり、保険料が割増される仕組みです。
事故は、「ノーカウント事故」「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」の3つに分けられ、「1等級ダウン事故」1件につき1等級、「3等級ダウン事故」1件につき3等級下がります。
ノーカウント事故の場合は、事故がなかったものとみなされるため、保険金を受け取っても等級に影響はありません。そのため、ノーカウント事故のみの場合は、翌年の契約が1等級上がります。
例えば当社では、事故の種類を以下の通りに分類しています。
| 事故の種類 | 該当する事故の例 |
|---|---|
| ノーカウント事故 |
|
| 1等級ダウン事故 |
車両保険にかかわる事故のうち、次のいずれかのみの事故、またはそれらと「ノーカウント事故」の組み合わせのみの事故
|
| 3等級ダウン事故 | 「ノーカウント事故」「1等級ダウン事故」以外の事故 |
また、割増引率は「無事故」と「事故有」で区分されており、同じ等級であっても「事故有」のほうが保険料は高くなります。
等級引き継ぎのルール
自動車保険の等級は、一定の条件を満たすと引き継げます。等級を継承できる主なケースは、以下の通りです。
- ① 保険会社を乗り換えた場合
- ② お車を買い替えた場合
- ③ 家族に引き継ぐ場合
保険会社を乗り換える場合、等級の引き継ぎが可能です。例えば、他の自動車保険で10等級だった場合、1年間事故がなければ、乗り換え先の自動車保険では11等級からスタートできます(一部の共済を除く)。
また、お車を買い替えたときは、お車の変更(車両入替)手続きを行いますが、主に運転する方、お車の所有者に変更がなければ等級はそのまま引き継がれます。
さらに、等級は家族(配偶者または同居の親族)間でも引き継ぎが可能です。
家族間での等級引き継ぎに関しては、以下のコラムでも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
自動車保険の等級は家族間で引き継ぎができる!自動車保険の入り方
自動車保険の入り方は、「代理店型自動車保険」と「ネット自動車保険(ダイレクト型・通販型)」のどちらを選択するかで異なります。
| 代理店型自動車保険 | お客さまと保険会社の間に代理店を介して契約する自動車保険 |
|---|---|
| ネット自動車保険 | Webサイトなどを通して保険会社と直接契約する自動車保険 |
ネット自動車保険は、代理店型自動車保険と比べてコストがかからない分、保険料を抑えられます。
当社の自動車保険は、代理店を介さないネット自動車保険です。中間コストが圧縮される分、リーズナブルな保険料でご加入いただけます。
ご加入いただく際の流れは、以下の通りです。
- 見積もり
- 申し込み
- 保険料のお支払い
- 申し込み完了
手続きの際は、車検証または現在の自動車保険の保険証券が必要です。また、事前にオドメーター(積算走行距離計)の走行距離をご確認ください。
自動車保険に加入する際の流れと必要書類については以下のコラムで解説しています。あわせてご覧ください。
自動車保険の加入の流れと必要書類についてまとめ
自動車の保険には、すべてのお車に加入が義務付けられている自賠責保険と、任意に加入できる自動車保険(任意保険)があります。
自賠責保険には支払限度額があり、十分な補償が受けられない場合があります。また、相手方とご自身双方のお車、ご自身のケガに対する補償はありません。自動車事故に備えるため、自動車保険(任意保険)へ加入しましょう。
いざというときに十分な補償を受けるためには、自動車保険に関する正しい知識を身につけることが大切です。保険料の決まり方や等級制度などを正しく理解すれば、保険料を抑えることにもつながります。
監修:熊谷 正和
2005年7月に埼玉県川口市で開業後、ファイナンシャルプランニングを軸としたコンサルタントとして活動。開業当初から、個人のライフプランから法人向けのコンサルティングまで幅広く支援。得意分野は、住宅ローン・保険・資産運用などのライフプラン相談。毎年数百世帯、述べ2,000世帯を超えるライフプラン相談の実績を持つ。