車が水没したら自動車保険で補償される?車両保険の補償範囲と等級への影響を解説
2024年10月25日(2026年8月7日更新)
近年、水害による被害が増加しています。市街地より河川に近い地域の方が、水害の発生リスクは高いと考えている方もいるでしょう。
しかし、河川から離れた地域でも、下水道管などから水が溢れる内水氾濫などの「都市型水害」が起こる可能性があります。
自宅の建物や家財だけでなく、自動車にも被害が及ぶ場合があるため、火災保険だけでなく自動車保険でも備える必要があります。今回は、お車が水没した場合の損害を補償する車両保険の補償範囲や等級への影響、水害に対する対策や対処方法を説明します。
水害の原因とお車の被害
水害とは、洪水、内水氾濫、高潮、土石流、地すべりなどによる被害の総称です。お車の水没につながりやすい水害(主に台風・豪雨に伴うもの)として、ここでは代表的なものを挙げます。
- 洪水(河川の氾濫など)
- 高潮
- 内水氾濫
洪水や高潮の被害が発生しやすい場所には、次のような地形の特徴があります。
- 河川の流域や河川敷だった地域
- 海岸付近の低地
- 山地や丘陵に囲まれた谷底平野
しかし、河川や海岸、山から離れた地域であっても水害にあうリスクはあります。市街地で発生するリスクが高い水害に「内水氾濫」があります。内水氾濫とは、集中的な豪雨などによって下水道管や水路から水が溢れ、住宅や土地が水に浸かる現象です。標高が低い地域やアスファルトなどで地面が舗装された場所で発生しやすいという特徴があります。
アンダーパス(道路が低く掘り下げられた区間など)や地下駐車場は、集中的な豪雨などの際にお車が水没するリスクが高い場所です。お車が水没すると、エンジン内部や電装部品などに水が入り、走行不能に陥るだけでなく、故障して修理費が高額になる場合があります。
水が引いたあとも電気系統のショートによる火災の危険があるため、エンジンをかけずに保険会社やロードサービスへ連絡することが大切です。
洪水や高潮などで車が水没した場合、自動車保険で補償される?
洪水や高潮、内水氾濫などでお車が水没した際、自動車保険で補償されるかどうかは、被害の原因や加入している車両保険のタイプによって異なります。ここでは、車両保険で補償されるケースと補償されないケースについて詳しく解説します。
車両保険で水害が補償される主なケース
自動車保険の補償の1つである車両保険には、「一般」と「限定(エコノミー)」の2種類あることが一般的です。
主な違いは、「限定(エコノミー)」は保険料が安い代わりに補償範囲が限定され、単独事故などの一部事故が補償対象とならないことです。
車両保険のタイプや保険会社によって補償範囲は異なりますが、一般的に、洪水や高潮などの水害は、「一般」と「限定(エコノミー)」どちらのタイプでも補償されます。
車両保険を付帯していれば、洪水や高潮などによりお車が浸水被害にあった際に、修理費や買い替え費用が補償の範囲に含まれます。
具体的には、以下のようなケースで保険金を受け取れます。
- 台風による河川の氾濫で、駐車中のお車が水没した
- 豪雨により下水道管から水が溢れ、自宅駐車場が冠水し、お車が浸水した
- 高潮の影響で走行中の道路が冠水し、お車が浸水した
ただし、保険会社や商品、契約内容によっては補償を受けられないケースもあるため、詳しい補償内容は、加入している保険会社に確認しましょう。
車両保険で水害が補償されないケース
車両保険では、地震や噴火に伴う津波による被害は、一般的に「一般」「限定(エコノミー)」どちらのタイプでも補償の範囲に含まれません。
高潮と津波は、潮位の上昇による災害という点で似ていますが、台風や発達した低気圧など通過することが原因の高潮は補償されるのに対し、地震・噴火が原因の津波は補償されないため、違いを押さえておきましょう。
車両保険について詳しくはこちらでご確認ください。
車両保険とは
水没時に自動車保険の車両保険を使った場合、等級はどうなる?
等級制度(ノンフリート等級別料率制度)とは、前契約の有無や前契約の事故の有無・種類に応じて、次契約に適用される等級(1〜20等級)と割増引率を決める制度です。適用される等級によって、翌年の自動車保険の保険料が割引または割増されます。
自動車保険において、事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の3種類に分けられます。
洪水や高潮などの水害でお車が水没し、車両保険を使った場合、一般的には「1等級ダウン事故」に該当し、翌年の等級は1等級下がります。
お車を水没させないための対策
自動車は、一定の水位までは耐えられるように設計されています。しかし、集中豪雨や大規模な台風が予想される場合は、水没による被害を防ぐためにあらかじめ対策を講じておくことが大切です。
お車を水没させないための2つのポイントを説明するので、ぜひ参考にしてください。
お車で冠水路などを通らない
局所的な雨が降ったときに、水が溜まりやすい場所を通らないように気をつけましょう。高架下や電車のガード下、立体交差のアンダーパスなどは水が溜まりやすい構造です。
また、見た目で水深を判断するのは難しいため、注意が必要です。
車種などによって走行できるかどうかは異なりますが、JAFが2010年4月8日に実施した冠水路走行テストによると、セダンタイプのお車の場合、水深60cmのアンダーパスでは途中でエンジンが停止し、立ち往生してしまう可能性があります。
お車を高台や立体駐車場へ避難させる
大規模な水害が起きた場合、そのあとの片づけなどのため、お車を守っておきたいでしょう。
水没するリスクが高いときは、あらかじめお車を移動させてください。なお、雨が降り始めてからや台風が接近してからの移動は危険を伴いますので、行わないようにしてください。普段から高台にある公園や商業施設の立体駐車場など、自宅や勤務先付近で避難できる場所を探しておくと、万一の際に焦らず対応できます。
ただし、商業施設の駐車場については、あらかじめ市町村と提携し、災害時に無料で開放することが発表されている商業施設であるかを確認しておく必要があります。
また、ハザードマップなどで自宅周辺の浸水・冠水リスクを把握しておきましょう。
お車が水没したときの対処法
実際に、水害によってお車が動かなくなってしまった場合の対処方法を説明します。
車内にいるときにお車が動かなくなった場合
冠水路を走行中にお車が動かなくなった場合、まずエンジンを停止します。
エンジンを止めたら、すぐに外に出ず、片足をつけて水深を確認しながら進んできた方向に戻りましょう。その際、マンホールのふたが外れている場合もあるので注意が必要です。
水中に転落してしまった場合、窓を開けて脱出します。仰向けになり、背中側から外に出ましょう。
また、窓やドアが開かなくなる場合に備えて、車内に脱出用ツールを用意しておくとよいでしょう。シートベルトを切るカッターや、窓ガラスを割るハンマーなどがあると、脱出しやすくなります。
万一、脱出用ツールがなく窓を割ることができない場合は、車内外の水位差が小さくなったタイミングを脱出の目安にしましょう。車内外の水位差が大きい間は水圧でドアが開きにくいものの、水位の差が縮まるとドアを開けやすくなるため、このタイミングでドアロックを解除し、足でドアを蹴り開けて脱出しましょう。
駐車しているお車が水没した場合
エンジンやブレーキ機構が故障している可能性があるため、ご自身でエンジンをかけてはいけません。
水が引いていたとしても、火災が発生するリスクがあります。水没した場合は、速やかにロードサービスなどに連絡し、点検してもらいましょう。
まとめ
日本では近年、集中豪雨や台風などによる水害が増えています。これらの原因によってお車が水没した場合、車両保険を付帯している自動車保険であれば一般的には補償範囲に含まれます。
車両保険には「一般」と「限定(エコノミー)」の2種類があり、洪水や高潮など水害による損害(地震・噴火に伴う津波による水害などは除く)は、どちらのタイプでも補償されるのが一般的ですが、詳しい補償内容は加入している保険会社に確認しましょう。
エンジンルームなどが水没すると火災のリスクがあるため、点検や修理が必要です。万一の水害に備えて、車両保険で備えておくと安心です。
監修:竹国 弘城
1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。
資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)