自動車保険の運転者限定とは?範囲外の方が運転する際の対処法も解説

2025年4月7日

自動車保険の運転者限定を設定した場合、補償される運転者の範囲が限定され、運転者の範囲に該当する方がお車を運転中の事故に限り保険金が支払われます。運転者の範囲を限定することは、保険料の節約にもなります。

また、いざというときに補償が受けられない事態にならないためにも、家族構成やお車を運転する方が変わったときは運転者限定を見直すことが大切です。

本記事では、運転者限定の概要や運転者限定の範囲外の方が運転するときの対処法をご紹介します。

自動車保険の運転者限定

運転者限定の区分は、保険会社によって異なりますが、イーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)では、下表のような4つの区分からお選びいただけます。
運転者限定を設定した場合は、以下の通り運転者の範囲が限定され、限定された範囲の方がお車を運転中の事故に限り、補償されます。

【補償される運転者の範囲】

○:補償されます ×:補償されません

運転者限定なし

「運転者限定なし」は、補償される運転者を限定しません。

運転者の範囲を限定する場合と比べて事故のリスクが高くなることから、保険料が高くなります。

家族限定

「家族限定」は、補償される運転者を家族に限定するものです。&eの「家族限定」では、補償される運転者の範囲を以下に限定しています。

  1. 主に運転される方(記名被保険者)
  2. 1の配偶者
  3. 1または2と同居している親族
  4. 1または2と別居している未婚の子

家族限定は、運転者限定なしと比べて補償の範囲が限定されている分、事故のリスクが低くなるため、保険料が安くなります。

家族限定で補償される範囲に「別居している未婚の子」が含まれますが、この場合の「未婚」とは、これまでに一度も法律上の婚姻歴がないことを意味します。そのため、離婚や死別などによって現在独身の場合は、未婚の子には含みません。

夫婦限定

「夫婦限定」は、補償される運転者を夫婦のみに限定するものです。
&eの「夫婦限定」では、補償される運転者の範囲を以下に限定しています。

  1. 主に運転される方(記名被保険者)
  2. 1の配偶者

夫婦限定は、家族限定よりも補償される運転者の範囲が狭くなる分、事故のリスクが低くなるため、保険料が安くなります。

配偶者には、内縁の配偶者および同性のパートナーも含まれます。

本人限定

「本人限定」は、補償される運転者を本人に限定するものです。
&eの「本人限定」では、補償される運転者の範囲を以下に限定しています。

  1. 主に運転される方(記名被保険者)

本人限定は、補償される運転者の範囲が最も狭く、事故のリスクが低くなることから4つの区分で保険料が最も安くなります。

運転者限定で保険料はどのくらい安くなる?

補償される運転者の範囲を限定するほど、事故のリスクが低くなることから、保険料は安く設定されています。

運転者限定以外の条件が同じだとすると、運転者限定の違いによって、保険料にどれくらい差が出るのでしょうか。&eを例に、運転者限定の違いによる保険料例を比較してみます。

運転者限定 保険料(一括払)
運転者限定なし 29,228円
家族限定 28,069円
夫婦限定 27,593円
本人限定 26,651円
上記保険料の算出条件
  • 保険期間:1年間
  • 保険開始日:2025年3月1日
  • 等級:20等級(事故有係数適用期間0年)
  • メーカー名・車名:トヨタ・プリウス
  • 型式:ZVW51
  • 初度登録年月:令和3(2021)年5月
  • 料率クラス:車両9 対人9 対物6 傷害11
  • 用途・車種:自家用普通乗用車
  • 前年走行距離区分:3,000㎞超5,000㎞以下
  • 使用目的:主に日常・レジャー
  • 主な使用地:東京都
  • 主に運転される方の年齢:50歳
  • 運転免許証の色:ゴールド
  • 前契約事故:なし
  • 前契約保険会社:当社以外
  • 払込方法:一括払

【補償内容(保険金額など)】

  • 車両保険のタイプ:限定タイプ
  • 車両保険金額:215万円
  • 車両保険免責金額(1回目-2回目以降):5万円-10万円
  • 対人賠償(1名につき):無制限
  • 対物賠償(1事故につき):無制限
  • 対物超過特約:あり
  • 人身傷害(1名につき):3,000万円(車内のみ補償)
  • 弁護士特約:あり
  • 他車運転特約:あり
  • 被害者救済特約:あり
  • 無過失特約:あり
  • 運転者限定:表に記載のとおり
  • 運転者年齢条件:30歳以上補償

【適用されている割引】

  • インターネット割引
  • 新車割引
(注)

表示の保険料は、保険開始日が2025年3月1日の&eにおける保険料です。
商品改定などにより、保険料が変更となる場合があります。

なお、上記は一例です。保険開始日や見積もり条件などによって、運転者限定の違いによる保険料の差額は変わりますのでご注意ください。

運転者限定は保険期間中に変更できる?

一般的に、運転者限定は保険期間中に変更することができます。

例えば、子どもが独立したり、同居している親が運転免許証を返納したりして、本人と配偶者しか運転しなくなった場合、「家族限定」から「夫婦限定」に変更することで保険料を抑えられます。お車を運転する方が減った場合は、その状況にあわせて運転者限定の変更を検討しましょう。

反対に、お車を運転する方が増え、補償される運転者の範囲を広げる場合も、運転者限定の変更が必要です。例えば、運転者限定を「夫婦限定」に設定していた場合、同居の子どもが運転免許を取得してご契約のお車を運転する際は、「家族限定」への変更が必要です。

運転者限定の変更方法は保険会社によって異なりますが、インターネットでお手続きできる場合もあります。
&eでは、マイページで変更日の1ヶ月前から変更が可能です。保険期間中いつでもインターネットで簡単にお手続きできます。変更手続き方法については以下をご確認ください。

「運転者限定特約」、「運転者年齢条件」の変更手続き方法を知りたい

運転者限定の範囲外の人が運転するときはどうする?

運転者限定が設定されている場合、補償される運転者の範囲に該当しない方がお車を運転して事故を起こすと補償を受けられません。例えば、「夫婦限定」に設定している場合、同居の子どもがお車を運転中の事故は補償対象外です。

しかし、補償される運転者の範囲を限定していても、一時的に範囲外の方が運転することもあるでしょう。例えば、子どもが帰省中にお車を運転するケースや、旅行などで友人と交代しながら運転するケースなどが考えられます。

ここでは運転者限定の範囲外の方が一時的に運転するときの対処法を解説します。

一時的に運転者の範囲を広げる

前述のとおり、一般的に、運転者限定は保険期間中に変更することができます。保険開始日時点では普段運転される方に範囲を限定し、お盆や年末年始の帰省など、ご契約のお車を運転する方が増える期間中のみ運転者の範囲を広げることによって、保険料を抑えられます。

保険期間中に運転者の範囲を広げた場合、追加の保険料が発生します。その後、運転者の範囲を元に戻すと、払いすぎた未経過分の保険料は払い戻されます。ただし、変更に伴う保険料の取り扱いについては、保険会社によって異なるため、詳細は加入している保険会社にご確認ください。

&eの場合、変更に伴う保険料の追加・払い戻し方法は、申し込み時の保険料の支払い方法・回数によって異なるため、詳しくはこちらをご確認ください。

契約内容の変更に伴う保険料の追加・払い戻し方法を知りたい

運転者ご自身が加入している自動車保険の他車運転特約を利用する

一時的に家族以外の方にお車を貸す場合、その方がご自身の自動車保険に加入している場合には、その自動車保険に付帯されている「他車運転特約」を利用できる場合があります。

他車運転特約とは、ご契約のお車以外の「他人のお車」を借りて運転中に事故を起こした場合、借りたお車にかけられている自動車保険ではなく、ご自身の自動車保険で相手方への賠償などの損害を補償する特約です。(特約の名称は保険会社によって異なる場合があります。)

&eでは、すべての契約に他車運転特約が付いています。詳細については、こちらをご確認ください。

他車運転特約

「ドライバー保険」または「1日単位で加入できる自動車保険」を利用する

お車を貸す際、運転される方がご自身でお車を保有しておらず、自動車保険にも加入していない場合には、運転前に「ドライバー保険」や「1日単位で加入できる自動車保険」などに加入してもらいましょう。

これらはいずれも「他人の車を運転する場合」に補償される自動車保険ですが、「1日単位で加入できる自動車保険」の保険期間が24時間から数日間程度なのに対して、「ドライバー保険」の保険期間は一般的に1年間と長期であるという点に違いがあります。
日常的に他人のお車を運転する場合には「ドライバー保険」、たまの帰省で親の車を借りる場合などは「1日単位で加入できる自動車保険」が向いているといえるでしょう。

「運転者年齢条件」もあわせて確認しましょう

家族構成や運転者が変わるときは、「運転者限定」とあわせて「運転者年齢条件」も確認しましょう。

運転者年齢条件とは、補償される運転者の範囲を年齢で区切る仕組みです。運転者年齢条件を設定した場合は、運転者年齢条件を満たす方がお車を運転中の事故に限り、補償されます。

&eでは、以下の4つに区分されます。

運転者年齢条件 補償される運転者の範囲
年齢問わず補償 運転者の年齢を問わず補償します。
21歳以上補償 21歳以上の方が運転中の事故のみ補償します。
26歳以上補償 26歳以上の方が運転中の事故のみ補償します。
30歳以上補償 30歳以上の方が運転中の事故のみ補償します。

一般的に、若年運転者は事故のリスクが高いことから、「年齢問わず補償」を選んだ場合の保険料が最も高くなり、運転者年齢条件を高くするほど保険料が安くなります。

なお、運転者年齢条件が適用されるのは以下に該当する運転者です。

  1. 主に運転される方(記名被保険者)
  2. 1の配偶者
  3. 1または2と同居している親族

運転者年齢条件は、運転者限定で補償対象となる運転者の中で、上記1~3に該当する方のうち最も若い方の年齢に合わせて選びます。

例として、以下のようなケースがあります。

  • 本人が33歳で妻が28歳で「夫婦限定」を設定した場合、「26歳以上補償」の年齢条件を設定します。
  • 本人が55歳、妻が50歳で「家族限定」を設定した場合、「30歳以上補償」の年齢条件にしても、両親のいずれとも別居している未婚の子には年齢条件が適用されないため、別居している未婚の子が30歳未満であっても補償の対象になります。

運転者年齢条件について、詳しくはこちらをご覧ください。

年齢で自動車保険料は変わる!? 年齢条件変更のタイミングはいつ?

まとめ

運転者限定とは、補償される運転者の範囲を限定することです。運転者の範囲に該当する方がお車を運転中の事故に限り、保険金が支払われます。
家族構成や運転者の変化に合わせて運転者限定を設定すれば、自動車保険の保険料の節約につながります。

「年に数回子どもが帰省中に運転する」などの理由で、運転者限定を設定していない方もいるかもしれません。しかし、一般的に、運転者限定は保険期間中に変更することができます。そのため、普段は運転者限定を設定しておき、範囲外の方が運転する期間中のみ運転者の範囲を広げることも可能です。
範囲外の方が運転して事故を起こしてしまうと補償が受けられないため、必ず運転する前に手続きを完了しておきましょう。

範囲外の方が一時的にお車を借りて運転する際は、運転する方が加入している自動車保険の他車運転特約を利用する方法や、ドライバー保険・1日単位で加入できる自動車保険を利用する方法もあります。
運転者限定の仕組みを理解し、必要な補償を無駄のない保険料で確保しましょう。

監修:竹国 弘城

1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。

資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)