事故の相手方が無免許でも自動車保険で補償される?被害者側が使える保険を解説

2026年10月29日

自動車事故の相手方(加害者)が無免許だった場合、「被った損害は保険で補償されるのだろうか」と不安に思う方もいるでしょう。警察庁によると、無免許運転の取締り件数は2024年で約18,000件にのぼり※1、決して他人事とは言い切れません。

本記事では、自動車事故の相手方(加害者)が無免許だった場合に、被害者側の損害を補償できる保険をわかりやすく解説します。

なお、後半では、重大な法令違反である無免許運転に科される主な罰則についてもあわせて紹介します。

事故の相手方が「無免許」でも自動車保険で補償される

自動車事故の相手方(加害者)が無免許運転であった場合でも、被害者救済の観点から、原則として被害者側の損害は保険で補償されます。

また、相手方(加害者)が無免許運転をしていた自動車事故で被害者は、相手方(加害者)の保険に請求できる場合でも、ご自身が加入している保険の対人賠償・対物賠償で補償の対象となるケースもあります。

  • 加害者が加入している保険:自賠責保険(強制保険)や自動車保険(任意保険)の対人賠償・対物賠償
  • 被害者が加入している保険:自動車保険(任意保険)の人身傷害や車両保険などで補償

ここでは、上記2つの保険について詳しく解説します。

加害者が加入している自動車保険で補償されるケース

相手方が無免許運転をしていた自動車事故で被害にあった場合、被害者側の損害は原則として加害者側の自賠責保険(強制保険)や自動車保険(任意保険)で補償されることが一般的です。

補償内容の区分については以下の表の通りです。

区分 被害者に対する補償内容
自賠責保険(強制保険) 対人賠償(被害者のケガ、後遺障害または死亡による損害の補償)
自動車保険(任意保険) 対人賠償(被害者のケガ、後遺障害または死亡による損害の補償)
対物賠償(被害者のお車や物の補償)

自賠責保険(強制保険)は、交通事故の被害者を救済するための保険です。原動機付自転車を含むすべての二輪車・自動車には、自賠責保険への加入が法律で義務付けられています。

ただし、自賠責保険の補償範囲は対人賠償部分に限られ、被害者のお車や物の損害に対する補償はありません。また、自賠責保険には支払限度額の上限があり、自賠責保険だけでは十分な補償を受けられない場合があります。

そのため、被害者の死傷に対する十分な補償や、お車や物の損害に対する補償は、加害者が加入している自動車保険(任意保険)の対人賠償や対物賠償によって補われます。

しかし、自動車保険(任意保険)は法律上で加入が義務づけられているものではありません。万一、加害者側が保険に未加入(無保険)の場合、十分な補償を受けられない可能性がある点に注意が必要です。

事故の相手方が無保険だった場合の自動車保険の補償について、詳しくは以下のコラムをご覧ください。

事故の相手が無保険車(無保険自動車)の場合どうなる?万一に備えるための保険も紹介

被害者が加入している自動車保険で補償されるケース

相手方が無免許運転をしていた自動車事故で被害にあった場合、ご自身が加入している自動車保険(任意保険)から補償を受けられることもあります。

種類 内容
損害そのものを補償する保険
人身傷害 自動車事故でご自身や同乗者が死傷した場合に、過失の有無に関係なく、治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益などの実際の損害額を補償する
車両保険 衝突や接触の事故などにより、ご契約のお車に損害が生じた場合に、修理費などを補償する
請求時に役立つ特約
弁護士費用特約※2 弁護士費用特約を付帯している場合に、ご自身に過失が全くない「もらい事故」などで相手方へ損害賠償を請求するために必要となる弁護士費用や法律相談費用などを補償する
※2

「弁護士費用特約」の名称は、保険会社により異なる場合があります。

万一に備え、ご自身が加入している自動車保険(任意保険)の内容を見直しましょう。補償内容は保険会社によって異なるため、詳しくは各社のWebサイトや約款をご確認ください。

なお、相手方の免許の有無にかかわらず、交通事故(自動車事故)の際に使える保険について詳しくは、以下のコラムをご覧ください。

交通事故で使える保険を整理して紹介!自動車保険の補償内容もあわせて解説

無免許運転に科される主な罰則

無免許運転は、たとえ事故を起こさなかったとしても刑事罰や行政処分が科される重大な違法行為です。主な処分内容は以下の通りです。

  • 刑事罰(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)※3
  • 行政処分(違反点数25点/運転免許の取消処分・欠格期間2年)※4

無免許運転は道路交通法で禁止されており、違反した場合は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

また、違反点数25点は、一度の違反で運転免許の取消処分(免許が取り消され、一定期間取得できなくなる処分)に該当する重い処分です。過去3年以内に前歴がなくても、2年間は運転免許の取得または再取得ができません。

さらに、無免許運転を行うおそれのある者にお車を貸したり、無免許であることを知りながら同乗したりする行為も、道路交通法違反となり、処罰の対象となります。

まとめ

自動車事故に巻き込まれた場合、被害者救済の観点から、相手方(加害者)が無免許であっても、原則として加害者側の自賠責保険(強制保険)や自動車保険(任意保険)から被害者側の治療費などの賠償金が支払われます。

また、加害者から十分な補償を受けられない場合には、ご自身の自動車保険(任意保険)を利用できる可能性があります。万一のときに慌てないよう、ご自身が加入している自動車保険(任意保険)の補償内容をあらためて確認し、備えておきましょう。

無免許運転は重大な法令違反であるため、一人ひとりが交通ルールを遵守し、安全運転を徹底することが重要です。

監修:竹国 弘城

1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。

資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)