自賠責保険と任意保険の違いは?自動車保険の基礎知識をわかりやすく解説!
2024年3月8日(2024年12月25日更新)
自動車の保険は、大きく分けて2種類あります。加入が義務付けられている「自賠責保険・自賠責共済(以下、自賠責保険)」と、ご自身の意思で加入する「任意保険」です。
任意保険に加入していなくても罰則の対象にはなりませんが、お車を運転するなら任意保険には加入していた方が安心です。今回は、自賠責保険と任意保険の違いや、任意保険が必要な理由を解説します。
自賠責保険と任意保険の違い
自賠責保険と任意保険の主な違いは、以下の通りです。
- 加入義務の有無
- 補償の範囲
任意保険の必要性を考えるうえで、まずは自賠責保険と任意保険にはどのような違いがあるのかを詳しく見てみましょう。
加入義務の有無
自賠責保険とは自動車損害賠償保障法により加入が義務付けられているもので、自動車損害賠償責任保険あるいは共済組合による自動車損害賠償責任共済を指します。
一方で、任意保険は加入するか否かを運転者自ら選択することができます。
補償の範囲
自賠責保険は、交通事故による被害者救済を目的としています。そのため、被害者のケガや死亡による損害のみ補償されます。相手方の物(自動車など)、ご自身のお車やケガに対する補償はされません。
なお、自賠責保険の補償額は限度があり、損害状況によっては自賠責保険のみでは補償が十分でない場合があります。
自賠責保険の補償内容
支払限度額 | (被害者1名あたり)|
---|---|
ケガによる損害 | 最高 120万円 |
後遺障害による損害 | 最高 4,000万円 |
死亡による損害 | 最高 3,000万円 |
自賠責保険の保険料は、車種や保険期間によって定められています。補償内容に差はなく、どの保険会社で加入しても保険料は同じです。
一方、任意保険は、相手方への補償のほか、ご自身のお車やケガなどに対する補償を組み合わせることができます。
自賠責保険と任意保険の補償範囲の違いは、以下の通りです。
任意保険は、さまざまな特約を組み合わせることで、補償の範囲を広げたり、狭めたりすることができるため、リスクに応じて補償内容を選ぶことができます。また、任意保険には保険会社による示談交渉サービスがついています。
さらに、任意保険には自賠責保険の「一括払い」という制度があります。この制度では、任意保険会社が窓口となり、自賠責保険と任意保険の補償金をまとめて被害者にお支払いします。これにより、被害者は手続きが簡単になり、迅速に補償を受け取ることができます。
支払い後、任意保険会社は自賠責保険金相当額を自賠責保険へ請求します。この制度により、事故発生時には被害者への対応がスムーズに行われます。
任意保険は万一の事故に備える「お守り」である
自賠責保険に加入していれば、被害者のケガや死亡は自賠責保険の支払い限度額までは補償されます。しかし、損害賠償額が高額になり、自賠責保険の補償では不十分な場合もあります。また、前述の通り自賠責保険では相手方の物(自動車など)、ご自身のお車やケガに対する補償はありません。
誤って人をはねて死亡させてしまったり、重い後遺障害を負わせてしまったりした場合、加害者は億単位の損害賠償額を請求されることもあります。また、他人にケガを負わせていなくても、他人の物を壊してしまった場合には損害賠償責任が発生します。
もしも任意保険に加入していなかったら、自賠責保険で補償されない範囲や自賠責保険の支払い限度額を超える部分の賠償金は、自己負担によって支払わなくてはなりません。すぐに支払うことができない場合、賠償金を長期にわたり返済したり、強制執行により不動産や給与などを差し押さえられたりすることになります。
保険とは、もしものときの補償を準備しておくものです。事故にあった場合のリスクを軽減するためには、任意保険に加入しておくべきでしょう。
任意保険には加入しておこう
お車を運転する際、交通事故にあう可能性は誰にでもあります。自賠責保険は被害者のケガや死亡による損害のみ補償され、かつ限度額があるため、事故によっては補償が十分でない場合もあります。
任意保険の役割は、自賠責保険でカバーできない部分を補償することです。また、任意保険に加入していれば相手方との示談交渉は損害保険会社が行うため、ご自身の負担も軽くなります。
万一の事故に備えて、任意保険に加入しておきましょう。
監修:新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。
資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員