AIがお客さまに合わせた事故担当者を選定する「私のタントウシャ」、はじめました
2022年05月13日
万一の事故が起きて保険会社に連絡をしたとき、お客さまの担当者はどのように決められているかご存じですか?イーデザイン損保が2021年10月からスタートした新たなサービス「私のタントウシャ」では、AI(人工知能)を用いて“お客さまと相性の良い担当者”を決定しているんです。
これは、イーデザイン損保としてはもちろん、保険業界としても初の取り組みです。今回は、「私のタントウシャ」のサービス開発に携わっている事故対応サービス部とビジネスアナリティクス部のメンバーに、サービス自体のこと、サービスが生まれた背景などについて聞きました!
担当者とのやり取りに感じる、お客さまの不安をなくしたい
――「私のタントウシャ」というサービスについて、改めてどのようなサービスなのか教えてください。
阿部さん:「私のタントウシャ」は、AIを活用してコミュニケーションスタイルをもとにお客さまと相性の良い専任担当者を選定するサービスです。お客さまと専任担当者は、事故が起きて初めてお話することがほとんどですが、長い場合は、事故解決まで1年以上に及ぶこともあります。その間、お客さまに少しでもストレスなくお過ごしいただくために、お客さまと専任担当者のフィーリングはとても大切であると考えています。
また、お客さまと専任担当者のコミュニケーションがスムーズに進むことで、事故という非日常な出来事で不安な状況においても、安心してお任せいただけるのではないかと考えています。
――「私のタントウシャ」はどんな背景で生まれたのでしょうか。
佐々木さん:サービスができる前は、私たちに事故のご連絡をいただいたときに、事故の状況とお客さまの契約内容といった情報しか手元になく、お客さまのコミュニケーションスタイルを事前に把握するということはできませんでした。事故の状況や事故対応サービス部クルーの経験値などをもとに担当者を選定し、担当者はどのようなコミュニケーションがお客さまの安心につながるかを考え、対応していました。
結果的に、事故対応を振り返ってお客さまが「この担当者とはちょっと合わなかったな」というお気持ちを抱いてしまうという状況も生まれていました。こうしたお客さまと担当者のコミュニケーションスタイルにおけるミスマッチをなくしたいというのが、「私のタントウシャ」が生まれた背景です。
――事故対応で「コミュニケーションの相性」を重視するケースは通常ではあまり無いですよね。どんな目的があったのでしょうか。
阿部さん:万一事故にあわれた際にも、ご安心いただけるサービスをご提供したい。そんな想いでお客さまに寄り添いたいと考え、対応品質の向上を目指すなかで、お客さまと担当者の相性に着目しました。
お客さまによっては、途中経過の報告をこまめに欲しいという方もいれば、ある程度話が進んでからで良いという方もいます。こうした違いはコミュニケーションスタイルの違いから生じるものと考えられるため、スタイルに応じた対応を実践することでお客さまにご安心いただけるサービスをご提供したいと考えています。
お客さまと担当者の相性を探る「ソーシャルスタイル理論」とは?
――「私のタントウシャ」を利用するにあたって、お客さまは何をすればよいのでしょう?
阿部さん:お客さまには、契約時や契約更新時に、簡単なアンケートにご回答いただきます。アンケートは、ご自身の話し方に関する2択の質問で、約40秒でご回答いただける内容になっています。
古川さん:イーデザイン損保の専任担当者についてもお客さまと同じようにコミュニケーションスタイルの把握を行っていて、それらをお客さまのコミュニケーションスタイルや事故の状況などと照らし合わせることによって、AIが相性の良い専任担当者を選出する仕組みです。
――AIによる相性の判定ではどのようなことが重視されているんでしょうか?
佐々木さん:相性の判定では、関西学院大学・佐藤善信教授(2022年3月時点)にご協力いただきながら「ソーシャルスタイル理論」という考え方を取り入れています。具体的には、アンケートをもとにしてお客さまのコミュニケーションスタイルを分類して、スタイルごとにどのような話し方が適切か、コミュニケーションでどのような工夫をする必要があるかなどを把握し、専任担当者の選定に活用しています。
阿部さん:例えば、私はアナリティカル(思考派、体系的)というスタイルで、「多くの情報を入手した上で物事を判断したい」と考えますが、これは同じアナリティカルのお客さまにも当てはまると考えられます。このようにスタイル毎に特徴があり、求めるコミュニケーションスタイルが異なるため、この点を踏まえて相性の良い専任担当者を選定するイメージです。
――実際の現場では、クルーは事故対応にどのようにお客さまのコミュニケーションスタイルを活かしているのですか?
丸山さん:専任担当者は、事故受付時にお客さま情報画面でコミュニケーションスタイルを把握しながら対応することができます。また、事故対応サービス部ではコミュニケーションスタイルごとに“対応のポイント”をまとめているので、「私のタントウシャ」による専任担当者の選定だけでなく、事故対応サービス部全体でスタイルにマッチしたきめ細かなお客さま対応が可能になっています。
――「私のタントウシャ」によってお客さま体験が進化すると同時に、事故対応に当たるクルーの業務スタイルにも変化が生まれると思います。
丸山さん:事前にお客さまのコミュニケーションスタイルがわかっていることで、お客さまにどのように接すればいいのかを事前に考えられるというのは大きな変化だと思います。また様々なタイプのお客さまに合わせた対応を心がけることで、担当者のコミュニケーションスキル、事故対応力もさらに向上させることが期待できます。
古川さん:事故対応の担当者からも、自分のなかで経験値、感覚値として持っていたお客さまのコミュニケーションスタイルを改めて体系立てて整理でき、お客さま対応に活かせているという意見が寄せられています。ただ、先入観を持ちすぎても良くないので、コミュニケーションスタイルはあくまで参考にしつつ、お客さま対応の腕を磨いていきたいという高いモチベーションで業務にあたっています。ビジネスアナリティクス部としては、今後得られたデータを分析し、よりよい事故対応を事故対応サービス部とともに作っていきたいですね。
――サービス開始後、お客さまからの評価はどうですか?
阿部さん:事故対応終了後のアンケートでは「私のタントウシャ」をご利用されたお客さまのうち、8割以上の方に最高評価の「10点(満足)」をいただいています。
「私のタントウシャ」から全社的なお客さま対応力の向上へ
――スタートしたばかりの「私のタントウシャ」ですが、これからどんなサービスにしていきたいですか?今後の展開について抱負を聞かせてください!
佐々木さん:事故対応サービス部の一員としては、このサービスを通じてお客さまとのより良い関係構築、事故対応力のさらなる向上を目指していきたいと考えています。現在は契約者のなかでアンケートにお答えいただいた方を対象にサービスを提供していますが、究極の目標は、契約者以外の事故関係者の方々に対しても、対応力を向上させていくことですね。
阿部さん:この「私のタントウシャ」の対応実績が増えていくことで、お客さまのスタイルごとにどのような対応が喜ばれるのか、ノウハウや事例が蓄積されていきます。これらを整理・分析し、社内でノウハウを共有することで、好循環を生み出していきたいです。
また、お客さまと接点がある部署は事故対応サービス部だけでなく、お客さまサポートセンターやCX推進部など様々あります。事故対応サービス部での経験を横展開することで、イーデザイン損保全体のお客さま対応品質の向上を実現したいですね!
撮影のためにマスクを外しています。
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