データの力で減らしたい!登山者の運転リスク

2022年10月28日

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実は登山者にとって、自動車は切っても切り離せない存在です。交通手段が限られていることもあって、登山者の多くは登山口まで自分の車を運転して行くからです。

一方で、山に向かう道は曲がりくねった狭い道が多く、危険がいっぱい!事故のリスクも高まります。

「運転せざるを得ないけど、正直リスクを感じる」そんな登山者の不安を解消できないかと考え、登山地図GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」とタッグを組んで「林道の安全を守るプロジェクト」を立ち上げました!

斉藤 克己(さいとう かつみ) / 株式会社ヤマップ アウトドア事業開発部

登山専門出版社を経て4年前にYAMAPにジョイン。現在はアウトドアブランドや自治体などのタイアップ案件の営業や企画を担当。取材やプライベートで年間50日以上は山で過ごす日々を送っている。自動車の運転歴は浅く、林道ではいつもビクビクしながら運転している。

宮藤 春菜(みやふじ はるな)/CX推進部

2018年に新卒2期生としてイーデザイン損保に入社。事故対応サービス部を経て、現在はCX推進部にて&eを多くのみなさまに知ってもらうため企画制作、広報、SNSなどを担当。登山未経験だが、登ってみたい山は、高尾山。

「YAMAP」のダウンロード数は330万と、登山地図GPSアプリの中で圧倒的シェアを誇っています。

登山者の安全を守るために、共にどんな活動を進めていくのか。YAMAPの斉藤さんと本企画の推進を担当する宮藤さんにお話を聞きました!

「自分の運転で登山に行く」登山者9割

出典:YAMAP「登山にいく際の安全運転に関するアンケート」調査報告書

出典:YAMAP「登山にいく際の安全運転に関するアンケート」調査報告書

YAMAPが2022年8〜9月、ユーザー7,700人を対象に行ったアンケート結果によると、登山に行くときに自分で車の運転をすることがある人の割合は約9割でした。そのうち約7割の人が行き帰りの運転に「リスクを感じる」と回答しています。

宮藤さん:登山に行かれる際にご自身の車を運転される方は多く、登山というアクティビティ前後での運転は睡眠不足や疲労も溜まっており、より安全な運転を目指したいと考えている方が多いのではないかと考え、登山者にフォーカスしました。

YAMAPさんは、電波がなくても現在地がわかる機能や、ユーザー同士で登山記録を共有できるサービス「活動日記」などを通して「データの力で遭難事故をなくそう!」と取り組まれています。&eも「データで事故のない世界を!」という目標を掲げているので、事故をなくしたいという点に共通の想いを感じました。

斉藤さん:イーデザイン損保さんからお話をいただいて、登山者の運転の安全性というのは私たちにとって盲点になっていたなと気付かされましたね。

YAMAPは登山のための地図アプリなので、登山口で地図を起動した後が自分たちのフィールドだと考えていたのですが、その手前、自宅から登山口までの道路の安全という観点に改めて思い至りました。

YAMAPは「遭難ゼロプロジェクト」など、とにかく山の遭難、危険をなくそうということをミッションとして活動しています。イーデザイン損保さんの「事故のない世界をつくる」というミッションとの親和性は高いと思っているので、いろいろ共創できることは多いのでないかと期待しています。

落石、倒木…林道に潜むたくさんの危険

YAMAPにはユーザーからさまざまな注意報告が届けられ、マッピングしている。

登山に行く人が運転で特に気をつかうのはどこなのか。まず、登山口へとつながる林道に着目しました。林道は、車の行き違いが難しいほど狭い道や、ガードレールがないなど整備の行き届いていない道が大半を占めるといいます。

斉藤さん:林道には、くねくねしていて視界が悪かったり、木が倒れていたり、カーブミラーもついていなかったりと、さまざまなリスクがあります。その上、雨など天候の影響で状況が刻一刻と変わっていくので、一般の道と比べて遥かにリスクが高いのです

私も先月ある山に行く途中、行く手に大きな岩が落ちている道に遭遇して、男5、6人でやっと動かしたという経験をしました。例えば帰り道にあんな落石があったら、1人だと身動きが取れない状況になってしまうと思います。運転に不安を持っている方が林道に突っ込んでしまい、にっちもさっちもいかなくなるというケースは結構あるのではないでしょうか。

YAMAP「活動日記」

リスクが高いにもかかわらず、林道に関する情報はほとんど共有されていないのが現状です。ユーザーを巻き込んでデータを集めることで、林道での運転リスクを減らすことができるのではないか。斉藤さんは「ユーザーの力」に期待しています。

斉藤さん:YAMAPには、アプリ内で登山記録を投稿できる「活動日記」というサービスがあります。例えば、登山道が崩れていたら「ここは危ないよ」といった情報をみんなで投稿し合う機能なのですが、このなかに「この林道が危なかった」という情報が書き込まれていることがあります。

ユーザーは次にどの山に行くかを決めるときに、他の人の活動日記を参照することが多いので、ここに林道についての情報があれば、運転に自信のない人にとって、この山はやめておこうというアラートになると思います。

YAMAPユーザーには、登山道に関するアラートはユーザー自らが率先して発信していくという文化が根付いています。ただ、この文化も初めからあったわけではなく、ここ数年で培われてきたものです。

YAMAPは登山者の半数近くが使っているアプリと言われています。林道のリスクについても、ユーザーのなかに登山道と同じようなカルチャーができてくれば、YAMAPを通じて情報発信する流れが起きてくるでしょうし、そうした流れを作っていきたいと思っています。

「新しい山の安全」をユーザーと作りたい!

イーデザイン損保とYAMAPによる「林道の安全を守るプロジェクト」がいよいよ始動します!どんな取り組みを予定されているのでしょうか。

宮藤さん:まずは登山者の皆さまと一緒に、登山口までの安全運転、林道に潜むリスクについて考えることが、登山前後の事故の削減につながるのではないかと考えています。さらに皆さまと共有した情報を、危険な林道の交通状況の改善につなげていくことで、登山者の皆さまが少しでも安心して登山に向かうことができる環境づくりができるのではないかと思います。
まずはこれからの雪山シーズンに向けて、雪道を運転する上で確認しておきたい基本事項をまとめたコンテンツを発信していく予定です。

また、YAMAPユーザーさまから林道での「ヒヤリハット」情報を共有いただくなど、ユーザーさまに参加していただくようなプロジェクトも考えています。

斉藤さん:YAMAPは、自治体と組んで、登山道や林道を整備するなど、山を通じて地方を良くしていくというプロジェクトを各地で進めています。そこにイーデザイン損保さんにも加わってもらって、山の楽しみを作りながら、新しい山の安全を作っていくような試みもできたらいいなと期待しています。ユーザーはもちろん、ゆくゆくはアウトドア関連のメーカーなども巻き込んで「地図に残る仕事」ができたらいいですね。

座談会「登山者の遭難や交通事故を無くしたい」開催

スタート企画として、モデルでYouTuberの山下舞弓さん、YAMAP MAGAZINE編集長の原田佳奈さんをお迎えした座談会を開きました。座談会の内容は「YAMAP MAGAZINE」で公開されていますので、ぜひご覧ください!

宮藤さん:登山者が山道や林道で遭遇しやすい事故とは何か、データを使って事故をなくすためにイーデザイン損保とYAMAPが共創してどんなことができるのかなど、まだ構想段階ですが、一緒に取り組んでいきたいことについてお話ししました。

「悲しい事故をなくしたい」という願いは、イーデザイン損保とYAMAPが共有する想いです。山道や林道ではどんな事故があり、それはどうすれば防ぐことができるのか、私たちにはまだまだ知見が足りません。
ぜひ登山をされる方、YAMAPをご利用されている方にご意見やアイデアをいただき、事故をなくす取り組みを一緒に進めていきたいと思っています!

登山の行き帰りの運転が安全で快適であることは、登山を安全に楽しむためにも欠かせない要素です。イーデザイン損保とYAMAPは、双方のユーザーの皆さまとも共創しながら、林道を含め、登山者が安心して運転できる環境づくりを進めていきます!

YAMAP MAGAZINE「林道の安全を守るプロジェクト」座談会はこちら!

登山者の遭難や交通事故を無くしたい|ビッグデータが変える登山とクルマの未来 | YAMAP MAGAZINE

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