脳の健康度が低いと危険な運転をしてしまう?イーデザイン損保とエーザイが共創する世界 03

2023年01月10日

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ドライバーの脳の健康度が低いとどんな運転の傾向があるのでしょうか?
2022年6月より始まったイーデザイン損保とエーザイさんとのコラボにより、脳の健康度と運転についてデータを分析したところ、50歳以上のドライバーで、脳の健康度が低いと出た方々の運転に、いくつかの傾向を見出すことができました。

今回は、「実年齢より脳年齢が高い人は、あまりブレーキを踏まない」「交差点付近での急加速が多い」という2つの傾向について触れたいと思います。

結果を導き出したエーザイさんとイーデザイン損保の担当者のみなさんに、脳の健康度と危険な運転の関連性を聞きました。

&e×のうKNOW®︎ どんなデータをどのように分析したか

2022年7月および10月の2回にわたり、約2,000名におよぶ&eのお客さまに「のうKNOW」を実施していただきました。そこで取得した脳の健康度のデータと、&eの運転データをもとに分析が行われました。

エーザイ・木本さん:車の運転には集中力や記憶力が大事であり、脳の健康度が低下していれば事故が起こりやすいだろうということは推測できます。そこで、「のうKNOW」を実施した、実年齢が50歳以上の方々の運転データを、イーデザイン損保さんに分析していただき、危険挙動(危険な運転)の発生に特徴があるかを確認していただきました。

イーデザイン損保・西澤さん:今回は既存研究を参考にして50歳以上の方を抽出しました。そして&eの運転データについて、危険挙動が発生した時間帯や、オープンデータを掛け合わせて道路属性を付与するなど、危険挙動の特徴を細分化し、計150種類以上の運転挙動を検証対象として、脳の健康度が低いドライバーがどのような運転をしているか分析を行いました。

「ブレーキを踏まないで運転し、ある地点で急加速する」不思議

(左上)脳年齢と急ブレーキ回数の関係
(右上)脳年齢とスピード超過回数の関係
(左下) 集中力スコアと交差点付近のスピード超過回数の関係
(右下)記憶力スコアと交差点付近の急加速回数の関係

データ分析の結果、実年齢より脳年齢が高い人は、「あまりブレーキを踏まない」、「交差点では急加速する」という2つの傾向が明らかになりました。これは一体どういうことなのでしょうか。

イーデザイン損保・木村さん:ブレーキをあまり踏まないというのは、運転時のリスクをあらかじめ回避する補償行動、つまりは運転に注意深くなるがゆえに、「ブレーキを踏む必要のないスピードで運転をしている」のではないかと考えられます。一方で、ブレーキを「きちんと踏まなければならないところで踏めていない」ということも言えると思います。
交差点に差し掛かると急加速が多くなるのは、信号が黄色になった瞬間に、慌てて交差点を進もうとするため、急加速してしまうといった状況が推測できます。

イーデザイン損保・古川さん:交差点では信号を確認し、歩行者を見て、前の車を見て、対向車を見て…と、さまざまな状況を瞬時に判断しなければなりません。マルチタスクや視覚情報過多で混乱する方が多いのも事実です。

イーデザイン損保・木村さん:スピードを出さないのは、安全運転のためにはいいことのようにも思えますが、交通全体からみると、危険な運転となる場合もあります。スピードが遅すぎると、後続車両が追い抜こうとするため、結果的に事故のリスクにつながります。

運転寿命延伸のためには定期的な脳の健康度チェックが不可欠

「のうKNOW」の結果表示画面

今回の分析結果を受けて、車を運転するドライバーは今後どのようなことに気をつけていけば良いのでしょうか。

エーザイ・木本さん:昨今言われている「高齢者は免許返納を」という方向性は正しいとは思いますが、「返納するまでいかに長く安全に運転し続けられるようにするか」が、私たちが目指すべき世界ではないかと思います。今回の結果で見えてきた50歳以上の運転傾向について、「50歳を過ぎた方は運転を控えるべき」と考えるのではなく、「50歳を過ぎて運転するときは、交差点では特に気を付けよう」と思うことが大事な気がします。

イーデザイン損保・木村さん:&eは運転データと脳の健康度を重ねた結果、「こういうときに気を付けて運転したほうがいいよ」ということをお伝えできるようになりました。こうしたデータをもとに危険運転に先回りしてドライバーにアドバイスをし、事故を減らしていきたいです。

エーザイ・木本さん:加齢による体力や筋力の低下は実感できますが、同年代の中で自分の脳の健康度がどの程度なのかは分かりづらいものです。漫然と「自分は若いからまだまだ大丈夫」という自己認識で運転しがちです。「のうKNOW」は自分の集中力や記憶力がどれだけ落ちてきているかを客観的にみることができますので、定期的にスコアをチェックしてリスクを把握することが大事だと思います。

大切なのは「自分ごと化」 脳の健康度と運転の関係、今後の展望は

&eアプリでは、定期的に配信している「運転テーマ」から「のうKNOW」のセルフチェックを実施できます。

イーデザイン損保とエーザイさんの共創によって、脳の健康度と自動車運転の関係が明らかになる一つの成果が出てきました。しかし、事故のない世界の実現に向けて、イーデザイン損保とエーザイさんの取り組みはまだまだ続きます。

エーザイ・木本さん:生活習慣を改善すれば、脳の健康が維持向上すると言われています。自分自身の年齢や脳の健康度を客観視して、車の運転に生かせるのはイーデザイン損保さんの保険だけだと思うので、エーザイも長く運転を続けていただくためのお手伝いをしていきたいです。

イーデザイン損保・西澤さん:データを活用して脳の健康度と運転を関連付けるという&eならではの切り口で、お客さまの安全運転を支援できると考えています。
今後は、エーザイさんのデータと&eのデータをさらに活用し、お客さまの身の回りで見聞きする事故や、脳の健康度について「自分ごと化」していただけるサービスをつくっていきたいですね。
「運転には自信があるから事故なんて起こさない」「脳を意識する年代ではないから関係ない」と思っている方もいらっしゃいます。そのような方々に対して、どのような場所、状況で事故や危険挙動が起きたのか、最近の脳の健康度の推移はどのようになっているかをお伝えしていくことで、注意深く運転することにつながったり、脳の健康度を維持向上するためのアクションにつなげていきたいと思います。引き続きエーザイさんとともに事故のない社会を目指してサービスの検討をしていきます。

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