自動車保険は途中で解約できる?等級の引き継ぎや返金について解説
2024年3月8日(2025年1月20日)

自動車保険は、保険期間の途中で解約(中途解約)することが可能です。自動車保険を中途解約する理由は、他の保険会社に乗り換える、または自動車を売却または廃車にするなどさまざまです。
しかし、自動車保険を解約すると、指定した解約日以降、自動車保険の補償がなくなります。また、等級の引き継ぎや解約返戻金にも注意が必要です。自動車保険を解約する際の注意点をご紹介します。
自動車保険は途中で解約できる
「解約」とは、保険期間の途中でご契約者の方からの申し出により、契約の効力を終了させることをいいます。自動車保険は保険期間中であれば解約はいつでも可能で、違約金などは発生しません。
自動車保険を中途解約する場合の注意点
自動車保険を中途解約する際は、補償がなくなる点や等級の引き継ぎに注意しましょう。
また、解約返戻金は、保険会社や商品によって未経過分の保険料を全額受け取れるわけではありません。中途解約時の注意点を解説します。
解約したら補償がなくなる
自動車保険を解約すると、指定した解約日以降、自動車保険の補償がなくなります。
気をつけたいのは、複数台のお車をお持ちの場合に、ご契約のお車に乗車中以外の補償についても補償がなくなる点です。
例えばイーデザイン損保の自動車保険&e(アンディー)においては、「人身傷害」の「車内・車外ともに補償」タイプを付帯すると、ご契約のお車に乗車中の事故だけではなく、他のお車に乗車中の事故や、歩行中の自動車事故も補償されます。「こちらの自動車保険で補償されるから大丈夫」と同居のご家族内の他のお車の自動車保険で、ご契約のお車に乗車中の事故に補償を限定している場合は、注意が必要です。このようなケースでは、一方を解約した場合にご契約のお車に乗車中以外の補償がなくなってしまいます。解約する際には、この観点で問題がないか確認するようにしましょう。
等級を引き継ぐためには解約と新契約のタイミングが重要
自動車保険を解約したあとに、再び自動車保険を契約する予定であれば、新契約への等級引き継ぎを意識したほうがよいでしょう。具体的には、新契約のタイミングが重要です。
解約日の翌日から7日以内に契約すると、以前と同じ等級になり、等級を引き継ぐことができます。しかし、解約日の翌日から8日目以降に契約すると、7等級以上の等級は継承できず、原則として6等級からスタートします。
なお、等級は、1年間保険を使う事故がなければ次年度に等級が1つ上がり、割引率も高くなります。
そのため、保険期間の途中で解約し保険会社を乗り換えると、新しい契約の保険開始日から1年間同じ等級が引き継がれるため、保険終了日である満期日での乗り換えに比べて等級の進行が遅れます。
等級の引き継ぎという観点では、保険終了日(満期日)のタイミングでの乗り換えが最も好ましいと言えるでしょう。
現契約の保険期間が1年で事故がない場合
横にスクロールできます
現契約の等級 | 新契約の等級 | |||
---|---|---|---|---|
解約した場合 | 解約日の翌日から7日以内に | 契約した10等級 | 10等級 | |
解約日の翌日から8日目以降に | 契約した10等級 | 6等級 | ||
解約しない場合 | 満期日をもって乗り換えた (または継続した) |
10等級 | 11等級 |
なお、等級以外にも、解約して他社に乗り換える際には注意点があります。
詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
保険会社や商品によっては未経過分の保険料が
全額返ってくるわけではない自動車保険を中途解約すると、支払った保険料のうち、すでに経過した保険期間分の保険料を差し引いた金額が解約返戻金として返還されます。
ただし、解約返戻金の算出方法は、保険会社の商品ごとに異なります。商品によっては日割り計算を行わないため、未経過分の保険料が全額返還されるわけではない点に注意しましょう。解約時に返還される保険料の計算には、多くの会社で「短期料率(短期率)」が採用されています。短期料率は、保険を途中で解約する際、その時点までの保険期間に応じた保険料を計算するための係数です。そのため、未経過分の保険料よりも払い戻し保険料が少ない金額になることがあります。お支払いいただくべき保険料があるときは、払い戻し保険料との差額を精算し、追加の保険料を請求することがあります。
解約時に返還される保険料については、保険会社に確認しましょう。
解約のお手続き
解約を行う場合には、保険会社に連絡してお手続きを行います。
代理店型の自動車保険であれば、解約前に代理店にまずは相談しましょう。ネット型自動車保険であれば、Webサイトまたは電話で保険会社に相談できます。
なお、過去日付に遡っての解約はできません。お車を手放すことが決まったら、早めに代理店または保険会社に相談するとよいでしょう。
解約してしばらくしてから再度契約する場合は、
中断制度を利用しよう
自動車を廃車または譲渡する、もしくは海外転勤のためしばらく自動車に乗る機会がないという場合には、解約と同時に、加入している保険会社から中断証明書を発行してもらいましょう。中断制度を利用すると、契約を一旦中断し、再度自動車保険に契約する際に、中断した契約の等級を引き継ぐことができます。
なお、中断証明書の有効期間は最大10年間であり、発行してもらうためには一定の要件を満たす必要があります。中断証明書について詳しく知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
まとめ
自動車保険は保険期間の途中で解約できます。ただし、現在の等級を新しい契約に引き継ぐためには、解約と新契約のタイミングが重要です。保険会社や商品によっては、未経過分の保険料が全額返ってくるわけではない点にも注意しましょう。
解約後、再び自動車保険を契約するまでの期間が空く場合は、中断証明書の発行も検討したいところです。解約する前に満期日などを確認して、早めの準備を心がけましょう。

監修:新井 智美
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆および監修をこなしており、これまでの執筆および監修実績は2,500本を超える。
資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員