自動車保険(任意保険)に加入しないとどうなる?加入率や補償内容も紹介
2024年3月8日(2026年2月26日更新)
自動車にかかわる保険には「自賠責保険(強制保険)」と「自動車保険(任意保険)」があります。自動車保険については、任意保険という言葉の響きから「加入しなくてもよい保険」と考えてしまうかもしれませんが、未加入の場合のデメリットを考えると、加入を強くおすすめします。
「任意」とはいえ、ほとんどの方が自動車保険に加入しているのはなぜでしょうか。どのような保険なのか、詳しく解説します。
自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の違い
自動車を運転するほとんどの人が、強制加入となる自賠責保険以外にも、任意で加入する自動車保険に加入しています。なぜ自動車保険が必要なのか、その理由は自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の違いにあります。
まずは自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の違いについて詳しくみていきましょう。
主な補償・サービスの範囲
自動車保険の補償・サービスの範囲は、保険会社や商品・契約条件により異なります。支払限度額等がある場合がありますので、ご注意ください。
自賠責保険(強制保険)とは
自賠責保険(強制保険)とは、交通事故による被害者を救済するための保険です。原動機付自転車を含むすべての二輪車・自動車は、自賠責保険(強制保険)への加入が法律で義務づけられています。
自賠責保険(強制保険)の補償範囲は、対人賠償部分のみとなっています。支払われる保険金も十分ではありません。被害者1名あたりの支払い限度額は、事故による傷害は120万円、後遺障害は75~4,000万円、死亡時は3,000万円となっています。ただし、被害者側に重大な過失があった場合には支払い金額が減額されることもあります。
自動車保険(任意保険)とは
一方、自動車保険とは「任意保険」とも呼ばれるもので、契約者が自由に補償内容を決めることができます。自動車保険への加入は任意となっており、強制ではありませんが、多くの方が加入しています。
補償内容は対人賠償部分に限らず、事故の相手方のお車などの損害を補償する「対物賠償」、お車に同乗していた方のケガなどを補償する「人身傷害」、契約のお車の損害を補償する「車両保険」などがあります。
その他にも、自動車保険(任意保険)においては、保険会社によって補償やサービスのラインナップに違いがありますので、どのような補償やサービスが必要か、加入時によく検討しましょう。
自動車保険(任意保険)の加入率
損害保険料率算出機構が2025年4月に発行した「2024年度 自動車保険の概況」によると、保険会社が取り扱う「自動車保険」と、同じく自動車事故の損害への備えであり、全労済やJA共済などが取り扱う「自動車共済※1」における対人賠償の普及率は、以下の通りです。
対人賠償の普及率
自動車保険 75.5%
自動車共済 13.2%
計 88.7%
<損害保険料率算出機構「2024年度 自動車保険の概況」より>
対人賠償の普及率から鑑みると、自動車保険または自動車共済への加入率は約9割です。「任意」とはいえ、多くの方が自動車保険に加入していることがわかります。
自動車保険は営利団体である民間保険会社による保険ですが、自動車共済は相互扶助を目的とした組合が運営しており、営利目的ではありません。両者は加入手続きや等級制度などに違いがあり、損害保険料率算出機構の統計では区別して集計されています。
自動車保険(任意保険)の保険料相場
自動車保険(任意保険)の保険料は、保険会社や補償内容、前契約の事故の有無や主に運転される方の条件、お車の条件などによっても変わります。
東京海上ダイレクト(以下、当社)の自動車保険のケース別の保険料相場は、以下の記事からご確認いただけます。
自動車保険(任意保険)に加入しないとどうなる?
加入義務のある自賠責保険(強制保険)とは異なり、自動車保険(任意保険)は加入するか否かをご契約者自ら選択することができる保険です。必要性の高い保険であるため、約9割の方が加入しています。
実際に、ご自身のお車が破損したときや事故によりケガをしたときなどには、自動車保険(任意保険)に加入していないと修理費や治療費を自己負担することになります。また、修理費や治療費以外にもさまざまな負担が発生する可能性があります。
自動車保険(任意保険)に加入しないとどうなるのか、具体的にみていきましょう。
法律により罰せられることはない
自賠責保険(強制保険)に加入していない場合は、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に加え、免許停止処分になります。
一方、自動車保険(任意保険)は、加入していなくても法律により罰せられることはありません。そのため、自動車保険(任意保険)に加入していないからといって懲役や罰金が科されることはなく、自賠責保険(強制保険)に加入していないときのように「車検が受けられない」といったことにもなりません。
事故発生時に被害者との直接交渉が必要な場合がある
事故発生時は、被害者との直接交渉が必要になる場合がありますが、自賠責保険(強制保険)では示談交渉に対応していません。自動車保険(任意保険)に加入している場合は、一部のケースを除き、事故の相手方との示談交渉を保険会社が担当します。
また、自動車保険(任意保険)に加入していれば、自賠責保険(強制保険)を含めて一括して保険金を支払う「一括払」という制度を利用することができます。保険会社が窓口となり、自賠責保険(強制保険)と自動車保険(任意保険)の補償金をまとめて被害者に支払うので、保険金請求手続きがカンタンで、迅速に保険金を受け取ることができます。
損害賠償請求をされた際に、
自己負担が発生する可能性がある
前述の通り、自賠責保険(強制保険)の補償範囲や支払われる保険金額には限度があります。事故で相手方が亡くなったり、ケガや後遺障害を負わせてしまったり、物を壊してしまったりした場合には、自賠責保険(強制保険)だけではすべての損害を補償することができず、多額の自己負担が発生する可能性があります。
自動車保険(任意保険)に加入していれば、自賠責保険(強制保険)では補償できない損害が発生した場合に補償を受けられます。自己負担がゼロになるとは限りませんが、多くのケースで自己負担を軽減できます。
自動車保険(任意保険)に加入しなかったケース
前述の通り、自賠責保険(強制保険)は事故の被害者のためのものであり、補償内容は相手方を死傷させた場合の対人賠償部分のみで十分ではありません。実際に事故にあった場合、自賠責保険(強制保険)のみの加入だとどうなってしまうのか、例をあげてみてみましょう。
ケース1:被害者が後遺障害を負ったり死亡したりするなど
重大な事故の場合
自賠責保険(強制保険)では、対人事故による補償には上限があり、どのような状態でいくら支払うのか細かく定められています。
しかし、事故の被害者が死亡した場合には、相手方の年齢などによって実際の賠償金の金額は異なります。過去には、交通事故によって次のように数億円の損害賠償を求める判決が出ています。
高額な損害額が認定された対人事故の事例
横にスクロールできます
| 認定総損害額※2 | 判決年 | 被害者性別年齢 | 被害者職業 | 態様 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 事例1 | 5億2,853万円 | 2011年 | 男41歳 | 眼科開業医 | 死亡 |
| 事例2 | 4億5,381万円 | 2016年 | 男30歳 | 公務員 | 後遺障害 |
| 事例3 | 4億5,375万円 | 2017年 | 男50歳 | コンサルタント | 後遺障害 |
認定総損害額とは、被害者の損害額(弁護士費用を含む)をいい、被害者の過失相殺相当額および自賠責保険などのてん補額を控除する前の金額をいいます。
出典 : 損害保険料率算出機構「2024年度 自動車保険の概況」
この事例を見ると、死亡で3,000万円、後遺障害で4,000万円までしか支払われない自賠責保険(強制保険)ではまかなえないことがよくわかります。自動車保険(任意保険)に加入していない場合、自賠責保険(強制保険)で補償されない分はご自身の財産から支払わなければなりません。このような万一の事態に備えて、自動車保険(任意保険)の対人賠償に「無制限」で加入しておくことが大切です。
ケース2:ご自身のお車と他人のお車が衝突した場合
他人のお車が事故により破損した場合、加害者は過失分の修理費などを損害賠償金として支払わなければなりませんが、自賠責保険(強制保険)には対物賠償の補償はありません。自動車保険(任意保険)の対物賠償に加入していない場合、この賠償金も自己負担することになります。
さらにご自身のお車の修理費などについても、自動車保険(任意保険)の車両保険に未加入の場合は自己負担となります。また、ご自身がケガをした場合の治療費なども自動車保険(任意保険)の人身傷害などに加入していないと補償されません。
ケース3:単独事故を起こした場合
単独事故で建物やガードレール、電柱などを破損させた場合には、対物賠償責任が発生します。他人のお車と衝突したときと同様に、自動車保険(任意保険)の対物賠償に加入していない場合は、修理費などは自己負担となります。
また、ケース2同様、事故によってご自身のお車が破損した場合や、ご自身がケガをした場合も自賠責保険(強制保険)では補償されませんので、自動車保険(任意保険)で該当する補償や特約を付帯していない場合には、自己負担となります。
このように、「事故の加害者となり自賠責保険(強制保険)だけでは賠償責任を果たせない」という状態になってしまった場合には、人生の計画が大きく変わってしまうリスクがあります。
それ以外にも、自動車保険(任意保険)未加入による注意点がいくつかあります。
例えば、自動車保険(任意保険)に未加入の場合、事故や故障によるレッカー費用も自己負担となり、「予想外の出費が発生した」というケースもありえるでしょう。当社では、ロードサービスがすべてのご契約に追加保険料なしで付帯しているので安心です。
また、友人や知人のお車を運転中に事故を起こしてしまった場合に、ご自身が自動車保険(任意保険)に未加入だと、事故による損害は自己負担となります。当社の自動車保険に加入していると、他車運転特約※3を利用することで、他人のお車を運転中の事故による損害もご自身の自動車保険の範囲で補償されます。
他車運転特約は、当社における特約名称(短縮表記)です。特約名称は保険会社により異なる場合があります。
自動車保険(任意保険)の補償範囲
では、自動車保険(任意保険)で加入できる補償にはどのようなものがあるでしょうか。例として、当社の自動車保険での主な補償について紹介します。
基本補償
対人賠償(自動付帯)
他人を死傷させてしまった場合に、相手方の治療費や慰謝料などを補償する
対物賠償(自動付帯※4)
相手方のお車や他人の財物を壊してしまった場合に、その修理費などを補償する
一部の契約について付帯できない場合があります。
人身傷害(自動付帯)
補償の対象となる方が死傷した場合に、過失の有無に関係なく、治療費や休業損害などを補償する
車両保険
ご契約のお車に損害が生じた場合に、修理費などを補償する
事故解決をスムーズにする特約
弁護士特約※5
もらい事故などで保険会社が示談交渉できないケースなどにおいて、相手方へ損害賠償を請求する場合に必要な弁護士費用などを補償する
無過失特約(自動付帯)※6
すべての契約についており、もらい事故などで保険を利用しても翌年等級が下がらない特則
対物超過特約※7
相手方のお車の修理費が時価額を超える場合に、その超過分を補償する
当社の補償内容について、その他の補償を含め、詳しくはこちらのページからご確認ください。
補償内容
弁護士特約は、当社における特約名称(短縮表記)です。特約名称は保険会社により異なる場合があります。当社の場合、日常生活の事故については、「日常・自動車事故補償」タイプを選択(保険開始日が2026年1月1日以降の契約で選択できます)した場合に補償します。
無過失特約は、当社における特約名称(短縮表記)です。特約名称は保険会社により異なる場合があります。
対物超過特約は、当社における特約名称(短縮表記)です。特約名称は保険会社により異なる場合があります。
まとめ
万一の事故の際、自賠責保険(強制保険)では補償が十分でないため、自動車保険(任意保険)にも加入しておくべきでしょう。自動車保険(任意保険)には多くの補償や特約があり、複雑に思われるかもしれませんが、万一の場合に備えてしっかりと内容を確認して加入しましょう。
自動車保険(任意保険)の保険料は保険会社や補償内容などによって異なります。リーズナブルな保険料が特長のネット自動車保険である当社の自動車保険の保険料は、以下から見積もりが可能です。ぜひチェックしてみてください。
監修:竹国 弘城
1級FP技能士・CFP®
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題についてみずから考え、行動できるようになってもらうための活動をおこなう。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。
資格情報: 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)