中型免許とは。取得条件や運転可能な自動車範囲、限定解除方法についても解説します
2024年1月17日
中型免許とは、運転免許の一つです。運転免許は、自動車の種類や最大積載量、乗車できる定員数などによって、種類が分けられます。
本記事では、中型免許を取得するための条件や方法、費用について解説します。また、8トン限定中型免許の限定解除方法を説明していますので、中型免許の取得を考えている方はぜひ参考にしてください。
中型免許とは
中型免許の正式名称は、「中型自動車第一種運転免許」または「中型自動車第二種運転免許」です。第一種は一般的な運転免許であり、第二種は旅客を運送するための免許です。
中型免許制度は、道路交通法改正によって2007年6月2日から施行されました。また、2017年3月12日には、準中型自動車免許が新設されたため、取得時期によって運転可能な中型自動車の条件が異なります。
ここで、中型免許を取得するための条件や、運転できる自動車の範囲を見てみましょう。
取得条件
中型免許を取得するには、主に以下の条件を満たさなければなりません。
- 20歳以上
- 普通・準中型・大型特殊免許のいずれかの運転免許を取得し、かつ通算2年以上の運転経歴をもつ(免許停止期間は除く)
- 視力が両眼で0.8以上、かつ一眼でそれぞれ0.5以上(眼鏡等による矯正でも可)
- 三桿(さんかん)法の奥行知覚検査器により3回検査し、その平均誤差が2cm以下である
三桿法とは、物体の遠近感や立体感などを捉える深視力を調べるための検査です。このほか、聴力や色彩識別などのテストもあります。
運転できる車の範囲
中型免許を取得すると、以下に分類される自動車を運転できます。
- 普通自動車
- 原動機付自転車
- 小型特殊自動車
- 準中型自動車
- 中型自動車
中型免許は、2007年6月に道路交通法の改正により導入されました。中型免許が導入されるまでは、普通免許と大型免許の2種類のみで、普通免許で車両総重量8トン未満までの運転が可能でした。
しかし、車両総重量5トンから8トンの貨物自動車による事故件数が増加したため、事故防止対策として中型免許制度が創設されました。下表のとおり、中型免許の取得時期によって運転可能な「中型自動車」の条件が異なります。
中型免許の取得時期 | 2007年6月2日 〜2017年3月11日 |
2017年3月12日以降 |
---|---|---|
車両総重量 | 5トン以上 | 11トン未満7.5トン以上 | 11トン未満
最大積載量 | 3トン以上 | 6.5トン未満4.5トン以上 | 6.5トン未満
乗車定員 | 11人以上 | 29人以下11人以上 | 29人以下
2007年6月の改正前の普通免許は「8トン限定中型免許」に区分され、車両総重量8トン未満・最大積載量5トン未満・乗車定員10人以下の自動車の運転が可能です。
また、2007年6月2日から2017年3月11日の間に取得した普通免許は「5トン限定準中型免許」となります。改正前の普通自動車に該当する、車両総重量5トン未満・最大積載量3トン未満の自動車であれば、運転できます。
中型免許の免許取得方法
中型免許を取得するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、教習所へ通う場合と通わない場合に分けて説明します。
自動車教習所への通学
自動車教習所へ通う場合、次のような流れで取得します。
- 学科教習および技能教習を受ける
- 卒業検定に合格して教習所を卒業する
- 運転免許試験場で適性検査を受ける
- 免許証が交付される
教習所で受ける学科や技能教習の時間は、保有している運転免許によって異なります。また、指定自動車教習所を卒業した場合、運転免許試験場での技能試験は免除されます。
一発試験の受験
一発試験とは、教習所に通わずに飛び込みで免許試験を受ける方法です。一発試験の流れは、以下のとおりです。
- 適性検査・仮免許試験に合格する
- 路上練習を行う
- 適性検査・技能試験を受けて本試験に合格する
- 応急救護講習・取得時講習を受ける
- 免許証が交付される
教習所に通わないため、1回で合格できれば、免許取得にかかるコストを抑えられます。しかし、教習所に通う場合と比べると、一発試験の難易度は非常に高いといえます。
中型免許の免許取得費用
中型免許を取得するために、どの程度の費用が必要か解説します。
自動車教習所への通学
普通免許(AT限定)を保有している場合、自動車教習所の料金相場は約20〜25万円です。ただし、地域や自動車教習所によって料金に差が生じるため、一概には言えません。
一般的に、4月中旬から7月中旬、また9月中旬から12月中旬は教習所の閑散期であり、オフシーズンであれば免許合宿などが安くなるケースがあります。
繁忙期は頻繁に講習を受けることができません。間をあけての受講は習得が比較的困難になるため、閑散期での受講をおすすめします。
また、自動車教習所を卒業した場合、運転免許試験場で以下の手数料を負担します。
- 試験手数料:6,600円
- 免許証交付手数料 2,050円
なお、再試験の場合は、その都度試験手数料が必要です。
一発試験の受験
一発試験の場合、仮免許試験および本試験で必要な手数料は下表のとおりです。
仮免許試験 | 本試験 |
---|---|
|
|
合計:5,500円 | 合計:8,650円 |
なお、再試験の場合、その都度受験料および試験車使用料がかかります。また、本試験に合格したあとは、取得時講習を受けるため、受講料(22,000円)が必要です。
8トン限定中型免許の
限定解除方法中型免許制度が始まった2007年6月以前の普通免許は、「8トン限定中型免許」といい、下記の条件を満たす自動車を運転できます。
- 車両総重量8トン未満
- 最大積載量5トン未満
- 乗車定員10人以下
運転免許の限定解除とは、条件が限定されない免許への変更手続きです。8トン限定中型免許の限定解除を行うと、車両総重量5トン以上11トン未満・最大積載量3トン以上6.5トン未満・乗車定員11人以上29人以下の中型自動車を運転できるようになります。
ここで、8トン限定中型免許の限定解除方法を紹介します。
自動車教習所に通う方法
自動車教習所に通う場合、所定時間の技能教習を受けて、技能審査に合格する必要があります。技能教習の時間は、保有する運転免許の種類によって異なります。また、限定解除のために通う教習所の料金相場は、10万円前後です。
教習所を卒業後、運転免許試験場において限定解除審査を通れば、条件が限定されない中型免許を取得できます。なお。運転免許試験場では手数料(1,400円)が必要です。
一発試験を受けて合格する
中型免許の限定解除を行うには、運転免許試験場での一発試験も方法の一つです。運転免許試験場で技能審査を受けて合格すれば、限定解除できます。一発試験には以下の手数料が生じます。
- 受験料 1,400円
- 試験車使用料 1,450円
なお、運転免許試験場での審査は実施日が限られているため、教習所に通う方がスムーズに手続きが進む場合もあります。
本記事の情報は2024年1月時点での内容です。
監修:木下 隆之
明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務。独立後、プロレーシングドライバーとして活躍。全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。雑誌にも11本の「連載エッセイ」に執筆。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。