委任状とはどんな書類?必要となるケースや書き方、留意点を解説

2024年3月25日

委任状とは、ご自身が行うべき手続きを他人に代行してもらう際、その手続きが本人の意思にもとづくものであることを証明する書類です。

自治体に届け出や証明書の交付を請求する際や、自動車購入時などに、委任状が必要な場合があります。本人の意思を示す重要な書類ですが、書き方がわからない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、委任状の概要や書き方、委任状が必要となる場面について解説します。

委任状とは

本来ご自身が行うお手続きを他人に代行してもらう際、委任状が必要な場合があります。

委任状(委任の旨を証する書面)とは、代理人によるお手続きが本人の意思にもとづくものであることを証明するための書類です。

お手続きを依頼する方を「委任者」、お手続きを代行する方を「受任者」といいます。

例えば、自治体に届け出や証明書の請求を行う際や、自動車に関するお手続きをする際、郵便物を受け取る際などに必要となります。

委任状の書き方について

出典:福岡市「申請書一覧 委任状(保険証等申請用)」

委任状に決まった書式はなく、必要な事項が記載されていれば問題ありません。ただし、提出先によっては所定の書式を使用する必要があるため、事前に確認しましょう。

一般的な委任状の書き方を解説します。主な記載事項は以下のとおりです。

  • 届け出先
    委任状を提出する先です。自治体の場合は、「○○市長あて」などと記入します。
  • 委任状作成日
    委任状を作成した日付を記入します。
  • 代理人(受任者)の情報
    代わりにお手続きする方の住所・氏名を記入します。
  • 委任内容
    委任するお手続きの内容を記入します。
  • 委任者の情報
    お手続きを依頼する方の住所・氏名を記入し、捺印します。

なお、提出先の公式サイトにて、書式とあわせて見本が掲載されている場合もあります。

委任状を書く際の留意点

委任状を書く際におさえておきたい留意点を解説します。

  • 委任状は委任者本人が作成する
  • 委任内容の下に「以下余白」と記載する
  • 捨印はしない
  • 委任状のコピー(控え)を取っておく

委任状は基本的に委任者本人が作成する

委任状は、委任者本人の意思にもとづくお手続きであることを証明するものです。したがって、委任状は代理人欄も含め、すべて委任者本人が記入します。

ただし、病気などのやむを得ない事情で委任状を書くのが難しい場合、委任者本人の意思にもとづき代筆できる場合があります。該当する方は、事前に委任状の提出先に確認しましょう。

委任内容の下に「以下余白」と記載する

委任状に委任者や受任者、委任内容などを記載した最終行に、「以下余白」と記載しましょう。

用紙の下に余白があると、第三者に委任内容を書き加えられる可能性があります。委任状がここで終わることを示すため、忘れず「以下余白」と記すようにしてください。

捨印はしない

捨印は安易に押さないようにしましょう。

捨印とは、文書の余白部分に訂正印としてあらかじめ押印しておくものです。捨印を押しておけば、文書にミスがあった場合に訂正印として利用できます。本人の訂正印をもらいに行く手間がかからないため、スムーズに訂正でき便利です。

ただし、捨印を押すと、文書を意図しない内容に書きかえられてしまう可能性があります。改ざんのリスクを防ぐためには、安易に捨印を押さない、または「捨印」という文字を明記しておくなどの対策が必要です。

委任状のコピー(控え)を取っておく

提出前に委任状のコピー(控え)を取っておきましょう。提出してしまうと、委任内容を確認できなくなるためです。また、コピーを取っておけば、万一委任状が改ざんされてしまったときの証拠にもなります。

委任状が必要なケースとは

代理人がお手続きをする際に委任状が必要となるのは、主に以下のようなケースです。

  • 車の名義変更を代理人が行うとき
  • 住民票を代理人が請求するとき
  • 郵便物を代理人が受け取るとき
  • 不動産を売却するとき

車の名義変更を代理人が行うとき

新車や中古車を購入し、車の名義変更を代理人が行う際に委任状が必要です。

車の所有者が変わった場合、15日以内に名義変更(所有者変更)のお手続きをしなければなりません。名義変更道路運送車両法で義務づけられている義務であり、行わなかった場合、50万円以下の罰金が課されます。

名義変更のお手続きを行うのは、車を使用する場所の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所です。

本来なら、新たに所有者となった本人が名義変更のお手続きをしますが、販売店で車を購入する際は多くの場合、販売店が代行してくれます。

また、販売店で車を購入し、お手続きを代行してもらう場合、販売店が委任状の用紙を用意してくれるのが一般的です。販売店に確認し、委任状に押印するための実印や印鑑証明書などを用意しましょう。委任状には、作成日や受任者・委任者の情報に加え、委任内容として以下の項目を記載します。

  • 委任するお手続きの名称(移転登録・変更登録・抹消登録など)
  • 自動車登録番号または車台番号

出典:国土交通省「委任状」

また、友人から車を購入したなど個人間での売買の場合は、ご自身で委任状を用意する必要があります。委任状の書式は、運輸支局や国土交通省の公式サイトなどでダウンロードしましょう

軽自動車の場合、代理人がお手続きする際は「申請依頼書 様式5」という書式を使用します。軽自動車検査協会の公式サイトにてダウンロードが可能です。

住民票を代理人が請求するとき

自治体に住民票の写しの交付を請求する際、ご自身がお手続きできないときは委任状が必要です。

自治体の公式サイトなどで書式のダウンロードや記載事項を確認しましょう。ダウンロードできない場合は、必要な内容が書かれていれば既定の書式以外でも問題ないため、便せんなどを使用して作成しても問題ありません。

住民票の写しを請求する際の委託内容には、主に以下のような事項を記載します。

  • 委託する内容(住民票の申請・受領の件 など)
  • 必要な住民票の住所・氏名
  • 必要部数
  • 使用目的
  • 請求する住民票に記載するもの(世帯全員・一部の別など)

出典:中央区「委任状(住民票請求用・住民異動用)(日本語版)」

自治体によっては郵送での請求も可能です。

郵便物を代理人が受け取るとき

不在時に受け取れなかった郵便物などを代理人が窓口で受け取る際、委任状が必要な場合があります。

同居家族が受け取る場合、委任状は不要です。一方、同居家族以外が代理人として受け取る場合は、委任状を持参する必要があります。

簡易書留は本人以外でも受け取れますが、本人限定受取郵便物は基本的に本人しか受け取れません。

不動産を売却するとき

不動産を売却する際、遠方にいるなどでご自身がお手続きできず代理人を立てるときは、委任状を用意する必要があります。

また、弁護士などの専門家を代理人として売却手続きをする場合や、共有名義の不動産を売却する際に代表者が手続きをする場合も委任状が必要です。

委任状には、作成日や受任者・委任者の情報のほか、売却する不動産の情報(所在や地番など)や売却条件(売買価額や手付金の額、引き渡し日など)を詳細に記載する必要があります。

本記事の情報は2024年2月末時点での内容です。

監修:新井 智美

コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)のほか、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)をおこなうと同時に、金融メディアへの執筆および監修にも携わっている。現在年間300本以上の執筆及び監修をこなしており、これまでの執筆及び監修実績 は2,500本を超える。

資格情報: CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

https://marron-financial.com/

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