セルフ式ガソリンスタンドの
ご利用方法や注意点を解説

2024年3月25日

ご自身で給油するセルフ式ガソリンスタンドが増えています。セルフ式が当たり前になりつつある一方で、ご自身の手でガソリンを扱う不安を感じる方も多いでしょう。しかし、手順さえ覚えてしまえば、使い方はそれほど難しくはありません。
本記事では、セルフ式ガソリンスタンドの給油方法、利用するときの注意点などを詳しく説明します。

ガソリンスタンドに行く前に
やるべきこと

セルフ式ガソリンスタンドを初めて利用するなら、給油方法を知る前に、まずご自身の車について次の2点をきちんと把握しておきましょう。

  • 車の給油口の位置と開け方をチェック
  • 車に給油できる油種

それぞれの確認方法を紹介します。

車の給油口の位置と開け方をチェック

車の給油口は側面、後方にありますが、左右どちらに位置するかは車種によって異なります。ガソリンスタンドでは給油機に給油口を向けて車を停めなければ、ノズルが届かなくなる恐れもあるため、給油口の位置をあらかじめ確認しておきましょう。

ご自身の車の給油口の位置は、取扱説明書でチェック可能です。他にも、運転席のメーターにある給油機マーク横の「◀(左)」「▶(右)」で判断できる車種もあります。

給油口のカバーは、レバーを引く、スイッチを押すなどの操作で開けるのが一般的です。多くは運転席のドア側パネルや足元にありますが、こちらも取扱説明書で確認しておきましょう。

車に給油できる油種を確認

車種によって、レギュラーガソリン/ハイオクガソリン/軽油と、給油できる油種が決まっています。違う種類の燃料を入れると大切な車が故障する原因にもなるため、ご自身の車の油種を必ず確認しておきましょう。

車の油種は、車検証の「燃料の種類」や給油口のカバー裏側などで確認できます。

  • レギュラーや無鉛ガソリンと記載がある場合:レギュラーガソリン
  • ハイオクや無鉛ハイオク、無鉛プレミアムと記載がある場合:ハイオクガソリン
  • ディーゼルや軽油と記載がある場合:軽油

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油種 特徴 価格の目安
レギュラーガソリン 国内の車に広く使われるガソリン
ハイオクガソリン レギュラーガソリンと同じ
ガソリンの一種で、
オクタン価が高い
レギュラーガソリンより
10~15円/Lほど高い
軽油(ディーゼル) ガソリンと同じく
石油が原料の燃料だが、
より高温高圧の環境下で燃焼
レギュラーガソリンより
20円/Lほど安い

ガソリンのノッキング(異常爆発)が起こしにくさを示すもので、数値が高いほどガソリンとしての性能が高い

例えば、ハイオク仕様の車にレギュラーを入れると異常燃焼が起こりやすくなり、軽自動車に軽油を入れるとエンジンが停止して修理が必要になります。

セルフ式ガソリンスタンドでの
ご利用(給油)手順

セルフ式ガソリンスタンドは、利用する給油機や車の停車、油種の選択、給油、お支払いまで、すべてご自身だけで行います。

  1. 給油レーンに駐車後、エンジンを切り、鍵を抜く
  2. 購入内容をオーダーする
  3. 静電気除去シートにタッチする
  4. 給油口のキャップを外し、給油する
  5. ノズルを戻し、給油口のキャップを閉める

ここでは、セルフ式ガソリンスタンドの一般的な利用(給油)手順を一つずつ紹介します。

①給油レーンに駐車後、
エンジンを切り、鍵を抜く

ガソリンスタンドに入ったら、給油レーンに車を停めます。枠内に収まるように、また給油機に平行に停めると給油しやすいでしょう。このとき、給油口のある側に給油機がくるように注意してください。

気化したガソリンの引火を防ぐため、エンジンを必ず切っておきます。盗難などに備えて窓を閉め、鍵も抜いておくと安心です。

準備ができたら給油口のカバーを開けて、車から降ります。

②給油機で購入内容をオーダーする

給油機のタッチパネルを操作して、購入内容をオーダーします。

  • 油種:レギュラー、ハイオク、軽油
  • 給油量:金額指定(円)、給油量指定(リットル)、満タン
  • 支払い方法:現金、クレジットカード、プリペイドカードなど

このとき重要なのは、必ずご自身の車に合った油種を選ぶことです。

タッチパネルの操作方法がわからなければ、ガソリンスタンドのスタッフの方にたずねるといいでしょう。

③静電気除去シートにタッチする

給油を始める前に、気化したガソリンからの引火を防ぐため、静電気除去シートにタッチします。
静電気除去シートはプラスチックに金属を混ぜたもので、シートに軽く触れるだけで、体にたまっていた静電気は給油機を通って地面に放電されます。

セルフ式ガソリンスタンドの多くに設置されていますが、もし見当たらない場合には、ドアやボンネットなど車の金属部分に触れておくと安心です。

④給油口のキャップを外し、給油する

給油口のキャップを開いて、給油する油種のノズルを持ちます。セルフ式ガソリンスタンドでは、法律で油種ごとにノズルの色が決まっています。

  • レギュラー:赤色
  • ハイオク:黄色
  • 軽油:緑色

油種の間違いがないようにノズルの色にも注意しながら、給油口にノズルを差します。オイル漏れなどを防ぐために、奥までしっかり差し込みましょう。

レバーを握ると給油が始まります。ノズルには給油量を感知するセンサーがあるため、指定した給油量に達するとカチッと音が鳴って給油は自動で止まります。満タンを指定していても溢れ出すことはありません。

⑤ノズルを戻し、
給油口のキャップを閉める

給油が終わったらノズルを引き出して元の位置に戻し、給油口のキャップを閉めてからカバーを閉じます。キャップの閉め忘れは危険なので十分に注意してください。

ノズルから液だれなどがあった場合には、給油機に備えられたダスターで拭き取るか、ガソリンスタンドのスタッフを呼ぶといいでしょう。

セルフ式ガソリンスタンドでの
注意点

セルフ式ガソリンスタンドは、一度やり方を覚えてしまえば、利用はそれほど難しくありません。しかし、危険物であるガソリンを取り扱うため、いくつか注意しておきたい点があります。

給油中は火を絶対に使用しない

ガソリンは気化しやすく、わずかな火種でも爆発的に燃え上がる液体です。気化したガソリンは地面にたまり、離れたところのわずかな火種にも引火する恐れがあります。そのため、ガソリンスタンドの敷地内は原則として「火気厳禁」です。

タバコはもちろん、静電気のわずかな火花もリスクになりうるので、電子機器のスイッチや充電の操作なども避けましょう。

給油キャップは必ず閉める

ご自身での給油では、給油キャップの閉め忘れにも注意が必要です。万一給油キャップを閉め忘れると、車の走行中にガソリンが漏れ出てボディの劣化の原因になり、最悪の場合には引火トラブルを招きます。

利用に制限が設けられている

セルフ式ガソリンスタンドでは、安全な利用を目的に、給油時間は4分まで、給油量はレギュラーとハイオクが100L、軽油が200Lまでと決められています。

普通車のタンク容量は50~100Lのため通常の利用に問題はありませんが、状況によってはガソリンを満タンにできない可能性もあるでしょう。

ご利用可能な支払い方法

セルフ式ガソリンスタンドで利用できる支払い方法は、ガソリンスタンドによって選択肢が異なります。現金やクレジットカード、自社プリペイドカードのほか、最近は電子マネーやコード決済を利用できるところも増えています。

なかには、有名ポイントカードのポイントを貯めたり利用したりできるガソリンスタンドもあります。

給油後はあらかじめオーダーした支払い方法で自動精算されるので、レシートを受け取ります。現金をご利用の方はパネルに表示された代金をお支払いのうえ、お釣りとレシートを受け取りましょう。

まれに精算する場所が給油機と分かれているガソリンスタンドもあります。その場合、レシートを持参して店内もしくは精算機で料金を支払いましょう。

セルフ式のほうが安いの?

スタッフが注文を受けて給油してくれるフルサービス式に比べると、セルフ式ガソリンスタンドはガソリン価格が安い傾向があります。

フルサービス式では、車から降りることなく給油できる、給油だけではなく窓拭きやタイヤの空気圧チェックなどのサービスを受けられるなど、セルフ式にはない利便性や安心感があります。

ガソリン価格は地域や店舗による違い、支払い方法によって差が生じます。必ずしもセルフ式の方がガソリン価格は安いとはいえませんが、フルサービス式の付加価値がガソリン価格に転嫁されていても不思議ではないでしょう。

セルフ式ガソリンスタンドでできる洗車や車内清掃

セルフ式ガソリンスタンドにはコイン洗車機や掃除機などを設置しているところも多く、給油だけではなく、洗車や車内清掃も可能な場合があります。

  • コイン洗車機:水洗いやワックス洗いなど複数のコースから選んで全自動で洗車できる
  • バキューム掃除機:吸引力の高さが特徴。エアー噴射でホコリを吹き飛ばす機能もある

コイン洗車機も掃除機も数百円から利用でき、掃除用のスペースや拭き上げ用タオルを準備してくれているガソリンスタンドがほとんどです。給油のついでに定期的に車を清掃するのもいいでしょう。

本記事の情報は2024年2月末時点での内容です。

監修:鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するのを目標とする。