エンジン警告灯が点灯!原因は?意味や対処法について解説!

2023年10月18日

車の運転中に、メーターパネルの「エンジン警告灯」が点灯していることに気づいて驚いたことはありませんか。エンジン警告灯にはどのような意味があるのか、そのまま走行してもよいのか、すぐに修理しないといけないのかなど、車に詳しくないと判断が難しいものです。安全なドライブのためにも、エンジン警告灯の意味や対処法について、わかりやすく解説します。

エンジン警告灯とは?

最近の車は、「自動車は大きな電子機器」と呼ばれるほど、コンピューター制御技術の塊となっています。特に、その核となるのが「ECU(Electronic Control Unit)」と呼ばれるものです。エンジン内部への燃料噴射を制御したり、空燃比(空気と燃料の混合比)や点火タイミング、排気ガス状態を最適に保つなど、状況に応じてエンジンを理想に近い状態に自動調整してくれる重要な役割を担っています。

このECUと呼ばれるコンピューターには、自己診断機能が搭載されています。エンジンを正しく動かすうえでおかしいところがあれば、即座にドライバーに知らせてくれます。そのお知らせが「エンジン警告灯」です。エンジンチェックランプなどとも言われています。しかし、あくまで「エンジン関係で調子が悪いところがある」と教えてくれるだけなので、不具合の詳細はカーディーラーなどで調べる必要があります。

エンジン警告灯の色

エンジン警告灯は黄色で表示されます。

車には、エンジン警告灯以外にも、オイル警告灯やバッテリー警告灯などのさまざまな警告灯(ランプ)があります。そして、こうした警告灯にはその緊急性の違いで赤く点灯するもの、黄色く(または橙に)点灯するものがあります。赤は「直ちに安全な場所に停車する必要があること」を、黄色は「すぐに故障する可能性は少ないが、早めに点検しなくてはならないこと」を意味しています。

エンジン警告灯は黄色です。つまり、緊急性はそれほどでもないけれど、早めに点検整備するようメッセージを発しているのです。

エンジン警告灯が点灯する
主な理由は?

気になるのは、エンジン警告灯がどんなトラブルを知らせているのかということです。いくつか可能性はありますが、その大半はエンジン制御システム内の各センサーの故障や不調です。これらセンサーがすべて正常に機能してはじめてエンジンの動作が良好に保たれるということは、裏を返せばエンジンの不調とはほぼセンサーの不調とイコールと言って差し支えないでしょう。

次の表で、主なセンサーと異常時の症状について説明します。

主なセンサーと異常時の症状例

名称 役割 異常時の症状
O2センサー 廃棄ガス中の酸素濃度を計測することで燃焼状態が正常かどうかを監視
  • アイドリング時のエンジン回転異常
  • その他のエンジン不調
  • マフラーの触媒部が高温になる(最悪の場合、発火)
エアフローセンサー エンジンに吸入される空気の量を計測し、空熱比(空気と燃料の混合比率)を監視
  • 燃料噴射が不正確になりパワーが出なくなる
  • その他のエンジン不調
イグニッションセンサー エンジンの点火状況を監視
  • 点火のタイミングが狂うことでエンジン不調や出力低下を招く
バッテリーセンサー 通電状況を監視
  • バッテリー端子の接続に不具合があるためエンジン内の電子回路が不調になる
アクセル開度センサー アクセルの踏み込み量を監視
  • オートマチックトランスミッションの変則が不調になる
  • アクセルを踏んでもエンジン回転が上がらない
  • トラクションコントロールが不作動

エンジン警告灯が点灯したら
どう対処したらよい?

もし、走行中にエンジン警告灯が点灯したら、まずは安全な場所に車を止め、異音や異臭など異常がないか確認し、問題なければできるだけ早めにカーディーラーや整備工場で点検してもらいましょう。

さきほど説明したとおり、エンジン警告灯が点灯する理由の多くは、エンジン制御に関わる重要なセンサー類の不調です。センサーは非常に精密にできていて、しかもエンジン内部や吸排気系統などの隠れた場所にあるため、一般の方が修理・調整するにはハードルが高すぎます。そのセンサー自体も純正品は、カー用品店に売っているようなものではなく、メーカーのパーツセンターで調達しなければならないものばかりです。これらのことから、センサー不調への対応は、整備資格を持ったプロでないと扱えない領域と言えるでしょう。整備工場などでは、専用の故障診断装置を車のコンピューターに接続して不調の原因を探し出してくれます。修理や調整もプロなら安心です。

センサー類の修理費用

なお、センサーに異常が見つかり、これを交換する場合、費用はどのくらいになるのでしょうか。国産車のO2センサーを例に挙げると、ディーラーに点検や交換を依頼した場合、部品代・技術料込みでおおよそ3~4万円程度かかると言われています。一般の整備工場なら、もう少し安価になるでしょう。より安価に済ませたいのであれば、カー用品専門店に依頼する方法もあります。ただし、エンジン警告灯の診断には専用の故障診断装置が必要なので、その装置を備えたカーディーラーや整備工場が安心です。

作業をどこに依頼するか、また輸入車か国産車、メーカーによって修理費用が大幅に異なってくるため、個別に確認が必要です。

点灯したエンジン警告灯が、
消えてしまったら?

走行中に一度はエンジン警告灯が点灯したのに、一度エンジンを切ってまた始動したら今度は消えていた、ということがよくあります。こうした場合、緊急性はなさそうですが、一度でもエンジン警告灯が点灯したのなら、どこかに原因があるはずです。やはり、念のため整備工場などで点検を受けたほうがよいでしょう。

また、エンジン警告灯が点灯しても「とくに異常がなさそうだから」と、そのまま放置している人も少なくありませんがこれは問題です。なぜなら、エンジン警告灯が点灯した状態では車検が通らないからです。これはエンジン警告灯だけでなく他のすべての警告灯でも同じです。もちろん、ディーラーなら点検・修理した上で車検を行うので問題ありませんが、ユーザー車検を通す場合、修理設備を持たない車検代行業者で車検を通す場合は気をつけましょう。

まとめ ドライバーの義務
~日頃の点検をしっかりと行いましょう~

ドライバーには日常点検・定期点検・車検が義務として課せられています。エンジン警告灯が一度でも点灯したら、念のためカーディーラーや整備工場で点検してもらいましょう。大きな事故や故障につながるような不具合がなければそれでよいですし、不具合が見つかれば、安全最優先で修理をする必要があります。整備・点検の行き届いていない車は危険です。

気を付けたいのは緊急性がそれほど高くないからといって、放置しておいてはいけないということです。エンジンの不調が続けば、燃費が悪くなったり、思わぬところでエンストしたりして、経済面や安全面でもよいことはありません。ドライバーとして、車の調子に気を使い、安全なドライブを楽しみましょう。

本記事の情報は2023年9月末時点での内容です。

監修:三木宏章

月刊自動車雑誌の編集者としてキャリアをスタート。編集プロダクションにて約7年間、チューニングカー雑誌を担当するなどをしたのちに、 現在はコンテンツディレクター兼ライターとして活動中。自動車業界はもちろん、日本のものづくりを支える製造業のコンテンツ企画・ライティング実績も豊富。