SUVってどんな車?正式名称や定義、種類やメリット・デメリットを解説します

2024年1月17日

街中で、SUVと呼ばれるタイプの車を多く見かけるようになりました。近年、国内でも海外でもSUVの人気が続いています。しかし「SUVとは、どのような車か」と聞かれると、正確に答えられる方は多くないでしょう。

本記事では、SUVの定義や種類を説明したうえで、メリット・デメリットについて解説します。SUVの購入を検討している方やSUVについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

SUVとは

車は、その外観や車内の構造などにより、さまざまな種類に分けられます。代表的な例として、セダンやワンボックスワゴン、ミニバンなどが挙げられます。

SUVとは、どのような車を指すのでしょうか。SUVの正式名称や定義について見てみましょう。

SUVの正式名称

SUVの正式名称は、「スポーツ・ユーティリティー・ビークル(Sport Utility Vehicle)」です。日本語では、「スポーツ用多目的車」といいます。

買い物や通勤など市街地を走行するだけでなく、週末のアウトドアやレジャーに行く際にも適しているため、人気が高まっています。

SUVの定義って?

SUVの明確な定義はありませんが、一般的に、SUVの構造には以下の特徴があります。

  • ピックアップトラックの荷台に居住・荷室空間(シェル)がある
  • 地上高を高く、ラダーフレーム構造(はしごのような形状をしたフレーム構造)を採用するなど、悪路走破性の高さを重視している
  • モノコック構造(フレームとボディが一体化した構造)の車や非SUV車(セダンやステーションワゴンなど)の外観をSUV風に変更している

タイヤが大きく最低地上高が高いSUVは、フロアと路面が接触しにくいため、舗装されていない道路などを走行するのに適しています。また、運転席からの目線が高く、視野が広くなるため、運転しやすいことも利点です。

SUV登場までの歴史

1960年代のアメリカで、ピックアップトラックをもとにした同形状の車両が登場し、人気に火がつきます。ピックアップトラックとは、運転席の後ろに屋根のない荷台があるトラックの一種です。ピックアップトラックの荷台にシェル(荷室)を作り、多目的に使用できるようにしたものが、今日のSUVです。

1980年代に入ると、日本でも国産SUVが数多く誕生します。また、世界では、北米の高級車市場の盛り上がりに伴いSUVも高級車市場への参入が始まり、1990年代以降、全米においてSUVブームが到来しました。

しかし、2000年代には、原油高騰や環境問題の影響により、SUVに対する批判的な声が強くなります。従来の燃費の悪いクロカン系SUVの人気は落ちますが、2010年代に入ると、ハイブリッドやクリーンディーゼルなどの発展によって、SUVの性能は大きく改善しました。

そして、2010年代以降、SUVのシェアは拡大を続け、再び世界中で人気を集めています。

SUVといってもいくつかの種類がある

SUVは、その大きさや使用用途によって、いくつか分類されます。ここでは、4つの種類について説明します。

コンパクト/軽SUV

SUVのなかでも、車体のサイズが小さく小回りがきくタイプを、「コンパクトSUV/軽SUV」といいます。

排気量660cc以下の軽SUVは、SUVタイプの軽自動車です。小さな車体でありながら、車内は広々と使えるため、人気を集めています。

排気量660cc以上で、全長が約4.4m以下であれば、コンパクトSUVに分類されます。買い物など市街地で快適に運転できるため、ファミリーカーとしても適しているでしょう。

例えば、スズキの「ハスラー」や「ジムニー」は軽SUV、トヨタの「ヤリスクロス」やホンダの「ヴェゼル」はコンパクトSUVの代表例です。

フルサイズSUV

フルサイズSUVとは、全長が約5.0m以上あるSUVです。トヨタの「ランドクルーザー」やランドローバーの「ディスカバリー」は、フルサイズSUVに分類されます。

高度な走破性を備えた車種もあれば、広々とした室内や高級感のある内装を重視したモデルもあります。ただし、日本の道路は狭い場合があるため、場所によっては運転しづらく感じるでしょう。

クロスオーバーSUV

クロスオーバーSUVは、近年のSUVブームで誕生した新しいタイプのSUVです。ホンダの「ヴェゼル」がクロスオーバーSUVに分類されます。また、コンパクトSUVの代表例として挙げたトヨタの「ヤリスクロス」はクロスオーバーSUVにも分類されます。 

クロスオーバーSUVの特徴は、異なるボディタイプ(クーペやワゴンなど)とかけ合わせて作られている点です。

それぞれの良いところを取り入れたうえで、快適な運転を追求しています。

クロスカントリーSUV

オフロードでも難なく走行できる高い走破性や装備などを備えたタイプのSUVを、クロスカントリーSUVといいます。トヨタの「ランドクルーザープラド」がクロスカントリーSUVに分類されます。また、軽SUVの代表例として挙げたスズキの「ジムニー」はクロスカントリーSUVにも分類されます。

ほとんどが悪路走破性に優れた4WDで構成されています。

SUVの原点である強固なボディや駆動性能が特徴で、街乗りでの快適さを重視するクロスオーバーSUVとは対照的です。

SUVのメリットとデメリット

SUVのメリットおよびデメリットについて解説します。

SUVのメリット

SUVには、以下のようなメリットがあります。

  • 悪路走破性が高い
  • 車高が高いため、段差がある道路でもボディと接触しにくい
  • アイポイントが高いため、視野が広く運転しやすい
  • 荷物をたくさん載せられる
  • 下取り価格が高い傾向がある

SUV本来の魅力は、高度な走行性能や駆動性能です。さらに、近年のSUVブームによって、小回りがきくサイズのSUVや街乗りに適した性能を備えたSUVなども増えており、選択肢が多い点もメリットといえるでしょう。

SUVのデメリット

多くのメリットがあるSUVですが、次のようなデメリットもあります。

  • 乗り降りしづらい車種がある
  • 高さ制限のある駐車場などに入れない場合がある
  • 初期費用と維持費が高い
  • 燃費が悪化する場合がある

最低地上高が高く作られているため、車種によっては、高齢者や幼い子どもなどは乗降が難しいSUVがあります。また、タワーパーキングなど、車高によって駐車できない場所もあるため、注意が必要です。

そして、SUVは車両価格や車両保険を追加した場合の任意保険の保険料が高い傾向にあるため、初期費用や維持費は安くありません。

さらに、SUVは車体が大きく重い傾向にあり、空気抵抗も大きくなるため、セダン系と比較して燃費が悪化する場合があります。

本記事の情報は2024年1月時点での内容です。

監修:木下 隆之

明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務。独立後、プロレーシングドライバーとして活躍。全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。雑誌にも11本の「連載エッセイ」に執筆。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。